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木の葉モールを訪れ、その商業施設としてのクオリティの高さに驚く [都市デザイン]

 福岡県は、七福線の終点駅である橋本につくられた木の葉モールを訪れる。福岡地所のプロジェクトであり、装飾等はジョン・ジャーディーのアドバイスを受けている商業施設である。福岡地所が大型商業施設は、キャナル・シティ(1996年)、マリノアシティ(2000年)、パークプレイス大分(2002年)、リバーウォーク(2003年)、そしてこの木の葉モール(2010年)と5つあるが、どれも大なり小なりジョン・ジャーディーが関与しており、そのためにデザイン・コンテクストが共通しているため、それぞれ違うのだが同じテイストを有している。これは、音楽に例えるならば椎名林檎の作品は「葬列」、「ギブス」、「都合のよい身体」、「ありきたりな女」、「流行」と曲は違うが、どこか似ているというのと同じで、福岡地所の商業施設のブランド的な意味合いを付け加えることに成功している。これって凄いことかもしれない。
 さて、そのような福岡地所の最新開発事例である木の葉モールは、ジャーディーの影響も極めて少なくなっている。しかし、ジャーディー的な考えを見事に消化した福岡地所が開発を手がけたことで、その空間デザインのセンスはよい。
 木の葉モールで驚くことはその巨大さである。敷地面積3.3ヘクタール、商業床面積は8.4ヘクタールである。東京ドームの二個分よりちょっと小さいくらいか。その施設の外側は巨大な戦艦のような横に長い物体であるが、施設内に入るとオープン・モールがあり、また回廊も直線ではなく緩やかな曲線になっており、さらには視界を遮る木やベンチ、ストリート・ファーニチャーが置かれている。キャナル・シティのように動線を大きく動かすことはしないが、歩いていて視覚的な飽きがこないような工夫が為されている。
 また、テナントの多様性と豊富さにも驚く。クリニックがいくつもテナントとして入っているし、アパレルはもちろんのこと旅行代理店も入っている。さらには、マルシェといった地元野菜のファーマーズ・マーケットのようなものまで開催されているのだ。これじゃあ、もう近隣の商店街は食堂などの外食系とパチンコ系ぐらいしか生き残る術はないんじゃないかと思われる。これは、もう都市における消費機能のほとんどを含有している。
 ある意味で、究極のショッピング・モールに近い。こんなショッピング・モールがつくられたら、商店街はもうパチンコと風俗店ぐらいしかテナントが入らないだろう。群馬県太田市のような都市景観が日本中に蔓延るしかないかもしれない。

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