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総務省から出向した某国立大学の教員の評判が悪い [教育論]

某国立大学で、実践的なコミュニティ・デザインを展開している学科がある。その学科に総務省の国家公務員が客員教授として出向してきた。文科省にはCOC事業というものがある。これは、「地(知)の拠点整備事業」と呼ばれており、「大学等が自治体を中心に地域社会と連携し、全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進める大学等を支援することで、課題解決に資する様々な人材や情報・技術が集まる、地域コミュニティの中核的存在としての大学の機能強化を図ることを目的」(文科省のホームページ)としている。この大学もCOC事業の予算を取ろうと考えた。

この国立大学も、このCOC事業の予算を取るために有利となると考えたのか、総務省が何かを企画していたのか、その細部はまったく知らないが、何しろこの国家公務員が客員教授として赴任してきたのである。そこには、おそらく大学の教員というのは能無しなので、国家公務員の方が、仕事が出来るだろうという認識が、霞ヶ関には100%あったであろう。それを広くこの大学だけでなく、世の中にも知らしめて、その後の文科省の大学改革の後押しをしようというような姑息な考えがあったのではないかと思われる。そして、大学の事務側にも、国家公務員のような事務能力の優れた人材がくれば、予算は取りやすいだろうという計算もあったかと思われる。

さて、それでは、この公務員教員がどのような成果を出したか。これが、学生によれば大変、出来が悪かったそうだ。というか、この学科はどうも教育をしっかりとしている先生が多いようなのだが、唯一、学生サイドから駄目出しを出されたのがこの教員であった。もちろん、学生はこの教員が霞ヶ関の役人で客員教授という位置づけであることは知っていない。純粋に大学教員としてなっていないという見方をされていた(私の取材に基づく)。どうして駄目なのか、と尋ねると、学生をコミュニティ・デザインなどの地域の会合に参加させるときに「先着順でどこかの高級ケーキをあげる」といったインセンティブを与えるそうなのだ。「そんなケーキごときでは、学生も忙しいのにやる気が起きないし、逆に馬鹿にされているような気がする」。至極もっともだ。まあ、霞ヶ関の公務員なんて、本当にこんなレベルなんだろうな、とは思う。まったく学生や人の動かし方が分かっていない。日頃、莫大な国家予算を動かしており、その予算に群がる業者や地方自治体がペコペコしているので、自分が偉いと思ってしまうのであろう。予算という飴がなくなると、ケーキか。いや、このケーキも国家予算で購入しているのかもしれないが、どちらにしろ、そういう金権主義的な体質を持っていることが改めて確認できた。こういう人達が大学改革をしようとしているのだから、大学がよくなる訳がない。学生もそうだが、人はそうそうお金ごときで動かない。 

大学は学生を教育する場であり、そして研究をする場である。この二つに長じているのは、国家公務員ではなく大学教員である。まあ、私の大学は酷い教員が多くて唖然とすることが多いが、それにしても、この二つのどちらかにおいては国家公務員よりは優れている。何せ、一応、それでお金をもらってきているからだ。プロだからな。国家公務員の非常な思い上がりをこの一件は、改めて知ることになった。こういう人達が、大学を改革しようとしているのであるから、学生にとってよい大学になる筈がない。残念なことが、最近、本当に多いが、これも大いに残念なことの一つである。

タグ:大学改革
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