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オーフスへと列車で向かう [都市デザイン]

コペンハーゲンからオーフスへと向かう。オーフスはデンマーク第二の都市である。しかし、コペンハーゲンに比較すると随分と存在感が低いような気がする。これは、他の北欧の国にも言えることだと思うが、イエテボリ、エスポー、ベルゲン、すべて首都に比べるとガクッと存在感が減るような気がする。

まあ、それはともかく、オーフスに行こうと思ったのは、二つの理由があったからだ。一つは、オーフスが最近行った暗渠化していた河川を開渠したプロジェクトを見たかったからである。このプロジェクトは東京理科大学の伊藤香織先生が紹介している。ソウルがチョンゲチョンで実施したようなことを、デンマークの地方都市が行ったという事実を私は衝撃を持って受け止めたのである。

私ごとであるが、豊島区そして練馬区を流れている暗渠化されている千川上水を開渠化できれば、川沿いの町にとっては素晴らしいプレゼントになると考えている。昔、千川上水はその桜並木でも有名であった。今は、ただの車が行き交うだけのアスファルトである。豊島区は、この事業を考えたことが以前、あった。しかし、実施しなかった。私は電話で豊島区に問い合わせたことがある。その回答は「お金がないから」というものであった。豊島区の人口は29万人である。オーフスの人口も29万人である。豊島区は東京都の行政区でもある。なんで、オーフスが出来るのに、豊島区はお金がなくて出来ないのであろう。まあ、お金がないというのは立前で、本当は、やる気と知恵がないだけである。オーフスは工事か何かでちょっと川に蓋をしていた場所が外され、川が見えたチャンスを市役所の職員が「チャンスだ」と思って、一挙に開渠化への広報活動を始めた。市の職員がしたのである。おそらく、このようなことをしても給料は上がらないであろう。この職員をモチベートしたのは、自分が働いている都市、町を少しでもよくしたいという思いだけだったと思われる。そして、「よくしたい」というのは、そこに住む人達が、その都市や町に住んでいることの満足度で図られる。

ヨーロッパの優れた都市プロジェクトを調べていると、自治体の職員が発案したものが多いことに気づく。例えば、コペンハーゲンのストロイエもそうである。日本ではヤン・ゲールが提案したと紹介されたりしているが、実際は、コペンハーゲン市役所の職員が、自動車を都心部から排除してストロイエをつくろうと提案したのである。デュッセルドルフのライン川沿いに整備されていた幹線道路を地下化し、道路があったところを市民に開放してライン・プロムナードを整備しようと提案したのも市役所の職員である。すべて、これらの事例は、「そこに住む人達にとっての都市の豊かさを向上したい」ということが目的として位置づけられているのである。豊島区の職員はそういう意識が欠如しているのではないだろうか。だから、出鱈目に近いようないい加減な調査で、「豊島区が消滅する自治体リスト」として挙げられると慌てふためくのである。自分達がしっかりと区民が幸せになるような施策を日々、考えていれば、そんないい加減な調査は堂々と無視出来る筈である。まあ、豊島区ばかりを取り上げるのも可哀想である。というのは、他の自治体も大同小異であると思われるからだ。

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