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北沢デザイン会議に出席して、市民参加による街づくりへの意識の高さに感銘を覚える [都市デザイン]

 北沢デザイン会議が北沢タウンホールで開催された。知人が来てくれ、と言われたので羽田空港から家に急行して、タクシーで向かう。そこには保坂区長を始めとして、世田谷区の職員、多くの街づくりNPOの関係者、そして多くの地元住民がいた。この会を仕切っていたのは、地元の都市計画コンサルタントであったが、その円滑な運営もまさにプロの仕事という感じであり、私を感心させたのだが、それよりも参加した地元住民の積極性は驚くほどのものがあった。まあ、テーマ的に大きい事業であるということもあるが、私がこれまで参加したサンフランシスコの街づくりの住民説明会に比べても、はるかに熱気と本気度は高かった。
 肝心の地主の小田急は世田谷区の要請に対して「勘弁して下さい」と出席しなかったのだが、ここで参加していれば、より活発な議論が出来たであろう。小田急の代わりに、住民の質問に回答したのは世田谷区の職員であった。住民は半分つるし上げのように彼に厳しい質問を浴びせていたが、私は、彼の回答は誠実であり、なかなか優秀な行政職員であると、これまた感心した。小田急も「勘弁して下さい」と言って逃げるのではなく、こういう場で、民主的に望ましい都市の未来への指針を議論すればいいのである。というか、中部電力や関西電力などの電力会社もそうだが、公益的な事業をしている企業が、あまりにも顧客である住民を無視し過ぎていないか。小田急だって、住民が利用しているから事業が成り立っているのであって、利用しなくなったらどうする積もりなのだろうか。
 いや、電力会社にしろ鉄道会社にしろ、独占企業であることに胡座をかいて、住民無視を貫き通そうとしているのかもしれないが、電力会社は電力自由化の発送電分離で、これまでのように独占できなくなるかもしれないし、小田急で沿線人口がそのうち縮小していく中、そんなに儲からなくなるかもしれない。鉄道はまだ大丈夫かもしれないが、小売りは敬遠されるのではないか。
 閑話休題。まあ、小田急関係者がいなかったのは残念であったが、それにしても下北沢は熱い。この熱さというか、情熱、人々の思いが、しっかりと将来の街へ反映されればと思う。もちろん、人々と一口でいっても多種多様な考えがあるだろうが、少なくとも、話し合いの場を設け、民主主義的なアプローチを採ることが必要であろう。そうでなければ、住民の街への思い、帰属意識も希薄化される。街は、企業のための金儲けの機会ではない。小田急もそこらへんをしっかりと理解すれば、より人々と共存できる企業へと成長できる筈である。将来、下北沢モデル、といわれるような街づくり手法ができると素晴らしいのではないかと会議に参加して思ったりもした。そのためにも、しっかりと民意を反映させてプロセスを経て欲しい。保坂区長の政治家としての正念場でもあろう。

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