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キガリのマスタープラン [都市デザイン]

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キガリのコンセプチュアル・マスタープランは、キガリのすべての計画の指針に関わる重要な計画である。その理念は、カガメ大統領によって提示され、それは2007年にアメリカはコロラド州のデンバーをベースにするオズ建築事務所によって完成され、ルワンダ議会によって2008年に採用された。キガリ・マスター・プランは、キガリ市全域をカバーし、地区計画の指針として位置づけられる。それは、最先端のサステイナブルな土地利用、社会基盤、社会、経済、生活環境を提示したものであった。
 1994年のジェノサイドという最低点を起点として、ルワンダは再生の道を歩んできた。キガリのマスタープランは、この前進をさらに推し進めるものとなるであろう。キガリの現時点での人口は100万人。25年後には、これが2倍、場合によっては3倍に増加すると予測されている。マスタープランは、この急激な人口増加に対応し、環境、社会、経済といった点において持続可能性を意識している。社会基盤を整備すると同時に、都心部には歩行者空間を創造し、都市農業を維持するなどして、人々の現在、そして将来のニーズに対応することをマスタープランは意識している。 
 このマスタープランは、アメリカ都市計画学会のダニエル・バーナム賞、ピエール・ランファント賞をはじめ、多くの賞を受賞するなど絶賛された。しかし、キガリを訪れて、このオズ建築事務所の提案したマスタープランは、そのまま実現されている訳ではないことを知る。
 オズ建築事務所のコンセプトは、シンガポールのスルバナ計画事務所のものによって、地区レベルでの詳細な具体化計画へと発展している。しかし、その過程で、スルバナ計画事務所は、オズ建築事務所がまず提案しないような内容をも計画に組み込んでしまっている。人口密度を相当、高めてしまっていることや、ボトムアップ的な街づくりよりもトップダウンで進める方針へと変更している。都市の魅力を向上させることよりも、現代的な都市開発により重きを置いたアプローチで進められている。
 オズ建築事務所の計画の重要な指針は「サステイナブルな都市づくり」であった。この「サステイナブル」というコンセプトが、キガリ側は、最優先させるテーマとしては認識されていないようだ。その重要性は理解されていても、経済開発より優先されるという訳ではないようだ。とはいえ、河川などの湿地帯の保全、スロープの保全、という試みは日本よりもしっかりとしている。

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