ドライヴィング・ミス・デイジー [映画批評]
1989年の作品。ジェシカ・タンディ81歳時の主演作。共演は、モーガン・フリーマンとダン・アイクロイドという個性豊かな俳優。演技者揃いということもあり、映画は裕福な南部のユダヤ教徒の老婦人の25年間の日常を描いたものであるのだが、映像の世界に引きずり込まれていく。何気ない会話、何気ない事件を淡々と描いているだけなのだが、それらの日々の積み重ねが、人種差別が激しかったアメリカ南部を背景に、皮膚の色、ジェンダーを越えた友情を築き上げていくその過程を、美しい映像、美しい音楽によって見事に描いている。また25年間の月日を表現するための役者のメイクアップもなかなかである。人生賛歌とも捉えられる素晴らしい映画である。