SSブログ

縮小都市に関するドイツ、アメリカ、日本のワークショップに参加する [サステイナブルな問題]

 社会学の国際学会が横浜国立大学で行われる。したがって、社会学者が世界中から横浜を訪れている。私は、社会学が専門ではないのだが、学会の事前勉強会に呼ばれたので参加する。縮小都市がテーマの勉強会である。
 ドイツ人が5名、アメリカ人が1名、日本人が6名参加した。ドイツ人の研究者はほとんどがライプチッヒ派である。ライプチッヒは、東西ドイツが統一した後、人々の期待とは裏腹に人口が急激に縮小するという状況に直面する。そして、その縮小現象にあたふたと対応するのではなく、縮小を一早く、受け入れて、縮小を前提とした長期計画を策定する。それと同時に、人口が郊外の自治体へ流出することで都心が空洞化することを避けるために、周辺の自治体を合併してしまう。これは、ライプチッヒ市だけではどうにもならなかったことだが、ザクセン州を動かすことで実現させたのである。
 私はこれまで、アイゼンヒュッテンシュタットを中心にコットブス、ロストック、デッサウなどの縮小政策の研究をしてきたが、このライプチッヒが非常に優れた政策を展開していたことはよく知っていたし、取材も数回、行ってきた。ただ、論文等にまとめなかったのは他の人達もよく調査していたからである。
 しかし、改めて当事者達の話を聞くと、素晴らしい事例である。また、私も再整理しなくてはという思いを抱く。9月にドイツに行くので、せっかく知り合いも出来たので、また訪れてみよう。
 アメリカの発表も興味深いものであった。事例がクリーブランドということもあるが、なかなか、その縮小の実態は凄まじいものがある。アメリカでは15年以上前であれば、縮小計画を考えること自体が問題であった。現在はそうでもなくなっているようである。
 日本人も私を含めて発表した。私はちょっと猿払村や南牧村などの地方部の縮小に関する話などをしたのだが、興味深いのは、ドイツ人の先生が、これほど過密な状況であれば縮小は朗報ではないのか、と質問したことだ。
 そうですね。「ウサギ小屋」と馬鹿にされるような家に我々は住んでいるからな。しかし、東京などでみられる過度の集積が経済的効率性を高めているという側面もある。経済的効率性のために、狭い家にいそいそと住んでいるというのが日本人の実態だ。経済が豊かでも、生活の豊かさがなかなか感じられないのは、そのような経済優先のシステムに因るのかもしれない。

nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1