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猿払村に、最近パン屋が開業して、大人気である [地域興し]

 猿払村に、最近パン屋が開業した。最近も最近、まだ一ヶ月も経っていない。
 猿払村には天北線という鉄道が走っていた。私も中学時代は鉄道好きだったので、随分と旅情をかき立てられた線路である。これは平成2年に国鉄がJRになったことを機に廃線となった。この天北線の駅が猿払村には幾つかあるのだが、その一つ、鬼志別駅跡地が、現在、バス・ターミナルになっている。
 そのバス・ターミナルのそばに焼きたてパンの店が開店したのである。こんな焼きたてパンが新たに開業する村というのも随分と珍しいのではないだろうか。ちなみに、この店舗は月曜日の15時ぐらいであったが、ひっきりなしに中年女性のお客さんが入ってきて繁盛しているという感じであった。私も、シャウエッセン、あんぱんを買う。そんなに特別に美味しいというパンでもないし、東京では繁盛するのは厳しいかな、と思わなくもないが、焼きたてであるということを考えると、こういうパン屋があるかないかで、随分と生活の豊かさが変わるかもしれないなと思ったりした。少なくとも、ちょっと先にある農協スーパーの大手パン製造会社の「腐らない」パンよりはずっとましである。
 この店は従業員も多い。朝と午後だと違うスタッフが働いている。二交代制なのかもしれない。たいてい5人ぐらいが働いているといった印象だ。そして、客だが大量に買っている。発泡スチロールの箱2つにパンを大量に買って積み込んでいる老夫婦に、何かパーティーでもあるんですか、と尋ねると、買い出しに来ているとのこと。なんと外に停めてあった車はトラックであった。さらに、この老夫婦は、薬屋でも買い出しをしていた。おそらく買い物難民のための対応策なんだろうけど、結構、事情は大変なんだな、ということを目の当たりにする。
 どこから来たのかを尋ねたのだが、私がここらへんの地理に疎いので、遠いのか近いのかも分からないが、「ここのパンは美味しいからね」と言う。私は、ここのパンが美味しいとは思わないが、スーパーやらが出来ても、焼きたてのパンはなかなか難しいし、作り手の顔はみえない。ここは、そういう意味で安心だ。
 話がちょっと飛ぶが、時間が余ったので隣町の浜頓別に行って話をしたおばさんも、この店のことを知っていた。なんでも地元の新聞にも紹介されたそうだ。このおばさんに浜頓別には焼きたてのパン屋はないんですか?と尋ねるとないとのこと。隣町のショッピングセンターである「サイジョウ」にまで行かないとないとのこと。ということで、まだこのおばさんは猿払村のパン屋に行ったことがないが、行ってみたいなあ、という。ちなみに、ここからパン屋までは30キロメートルの距離はある。東京から横浜ぐらいの距離だ。
 パン屋さんのご主人に話を聞く。東京で修行をしていたそうだ。お子さんは二人いるが、もう30歳を越えているので教育の心配はない。弟さんがこちらで大工をしていたこともあって、まあ実家に戻ってのんびりとしようと思って帰ってきたのに、忙しくてそれどころではなくなったとのこと。アポを取らさせてもらったのだが、話をしたくないとのオーラが強かったので、あまり話したくないことがあるのかもしれないと早々に切り上げた。ただ、話を通じて分かったことは、猿払村はお金持ちが多くて、お金の使い方に困るようなところである。こういうパン屋のように、ちょっとでも生活がよくできるような商品やサービスへの需要が凄まじく高くてビジネスが成立するということだ。
 私の住んでいる都立大学はすこぶるケーキ屋の質が高くて、とてつもないレベルでの競争が起きている。その結果、おそらく都内でも他の地区だったら余裕で顧客がついたようなレベルの高いケーキ屋が店を閉店させた。しかし、都立大学周辺の住民は困らない。一方で、このようなケーキ屋が猿払村に出店したら、もう半径50キロメートルぐらいの商圏を確保できるかもしれない。
 なんか、いい加減なマーケティングでは理解できないような商構造があることが今回、猿払村を訪れたことで気づかされた。人口とか、商圏などという指標を一律に当てはめられない地域の事情があることがよく分かった。
 そして、こういうことは中央政府の役人には分からない。一人、二人気づいた人間がいても、組織としては却下される。私は東京大学の土木工学科という役人養成機関を卒業しているので、多くの知人が中央政府の役人にいるので、このことはよく理解している。地方のためにも、そして多様性のある国家を築くためにも、地方分権が何より必要だなと思った。猿払村は政府の機関がなく、政府が放っておいた、というか放っておかれたので、自分達で課題を解決しようとしたところが、大きな成功の要因であると短い滞在であるが思わされた。
 ちょっと商業の話から離れてしまったが、地方においても小売業のポテンシャルがあることと、そして、そのような考察からも地方分権が必要であるということが改めて確かめられた。



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