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ゼミ生が辞めるといった理由に関して、ちょっと考える [その他]

 ゼミ生が辞めると言ってきた。理由を聞くと、「意味が見いだせないから」だそうだ。それじゃあ、生きる「意味」は何なのか教えてくれ、と言ったら学生は答えられなかった。当たり前だ。「意味」が何かが分からないから、我々は勉強するのだ。そのプロセスの「意味が見いだせない」というので放棄するのは、根源的に間違っている。まあ、おそらく他に理由があるのだろう。私が嫌いとか、私と離れたい、とか。そういうことは理由として言えないのだろうが、私としては、「意味が見いだせない」というより、まだそちらの方が、納得がいく。この学生は、人間的には私が苦手なタイプではあったが、意味が見いだせない中でも活動をしていることで見えてくることはたくさんある。霧で視野がぼやけていても、歩いて行けば目的地に着く場合もあるのだ。最近の若者は、インターネットなどが普及したことで、簡単に答えが得られたり、簡単に納得できたりするようなことでないと取り組むことができないものが増えている。そういう意味で、辞めたことは残念である。
 私の趣味は楽器演奏とスキーである。どちらも、うまく演奏したり、上手に滑られたりするようになるためには、日々の鍛錬と練習を積み重ねることが求められる。一朝一夕では出来ない。努力をしている時は、なんかつまらないと思ったり、こんなことで上手くなるのかと疑問に感じたりもするが、そこで辞めると決して上達することはない。私は楽器演奏もスキーも、今ひとつであり、この年齢になっても足掻いているのだが、それでも途中で辞めていたら、今ほども出来なかったことは確かである。最近、出した本も、ほぼ書き上げてから出版に漕ぎ着けるのに5年もかかった。ただ、その展望が見えにくいからといって途中で放棄したら何もならない。
 私はこの学生が、もう少し、ゼミにいることで見えてくるものもあるのではないかと思ったのだが、辞めてしまったら、何も見えない。まあ、ゼミや私を全否定して自分を正当化するというのは、一つの方法論であるかもしれないが、本来は対立的構図ではなく、ゼミは自分を取り巻く環境、社会であるという認識をもってくれればよかったと思う。
 この学生はゼミを辞めてすっきりしたのかな。まあ、すっきりして前向きに生きていけるのであれば、それでもいいが、そうでなければ残念である。人生の大半、そうそう納得して生きていけるものではないからだ。
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