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クリチバの中村ひとし氏の伝記を上梓するので、恒例の没原稿を順次アップする(3) [クリチバ]

3回目です。

さらに、これら判断力、決断力だけでなく(中村ひとしの)「先見の明」が図抜けていると指摘するのは、兵庫県職員の彌城である。彼は、中村が環境市民大学の時に、ブラジルで初めて「海のシンポジウム」を開催したことを挙げて、その将来の読みの鋭さを分析する。そもそもブラジルには水産という発想がなく、その当時、ブラジルには水産庁はなかった。しかし、パラナグアには10万トン級の船も来るようになっていた。パラナ湾は10メートルと非常に浅い。あっという間に環境が悪くなることが中村はよく分かっていたので、水産資源を保護するための環境保全という問題意識をブラジル人に持たせることが重要であると考えたのである。ブラジルでは海への視点は欠けていたが、森林の保全は既にやっていた。木を一本切っても犯罪というような森林保全の考えを、マングローブまで拡張しようとしたのである。ただし、彌城は中村のこの飛び抜けた「先見の明」、そして、それに基づいて、先手先手を打っていく中村の行動が、ブラジル人にはどうも分からないのではないかと推察する。その結果、どこかで金が出てくるから、こんな関係なさそうなことに力を入れているのではないか、と勘ぐられるのではないかとも分析していた。
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