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世田谷ボロ市を訪れる [地域興し]

世田谷ボロ市を訪れる。ボロ市は毎年12月と1月の15日、16日に開催される。曜日ではなく日にちで開催日を決めるのは、なかなか賢明であると思われるが、土曜・日曜と重なると相当、混む。ということで1月15日に訪れた。

世田谷ボロ市は世田谷線の世田谷駅か上町駅かが最寄り駅である。この世田谷線で行くというのが、風情があってなかなかいい。世田谷線は昔の緑色の芋虫のような玉電の車両がなくなり、現在はなんかステンレスの塊のようなつまらない意匠のものになってしまったのが残念だが、それでも地下鉄やバスではなく、この路面電車に揺られて向かうというのがわくわく感を演出させてくれる。車窓も世田谷のごちゃごちゃした住宅街というところが嬉しい。

さて、ボロ市を主催しているのは、地元の町会と商店会を中心に結成されているせたがやボロ市保存会。世田谷通りと平行して走る代官屋敷のあるボロ市通りを中心に展開されている。この代官屋敷が中心になっているのもボロ市の魅力である。というのも、この代官屋敷こそ江戸時代における世田谷領の中心であっただけでなく、現在の建物も1737年に建築された茅葺・寄棟造の主屋、そして1753年に建築された表門も茅葺・寄棟造であるなど、江戸時代における世田谷を現在に伝える重要な役割を担っているからである。ちなみに、これらは国指定の重要文化財となっている。

ボロ市自体も市場としての歴史は1578年、小田原城主の北条氏政がここに楽市を開いたことがきっかけとなっている。すなわち、代官屋敷よりさらに古い400年の歴史を有していることになる。しかし、ボロ市は現在では普通の露天市とさほど違いはない。その歴史の長さを露天から想像することは難しいであろう。そのような状況であるために、この代官屋敷という建物があることは非常に効果的であると思うのだ。代官屋敷の前に露天が並ぶ光景をみると、江戸時代に世田谷の農家の人達が、古着や農機具、農産物をここに持ってきて売っていたという情景が朧気ながらも目に浮かべられるからだ。代官屋敷に隣接して郷土資料館があることも、そういう理解を深めるうえでは極めて効果的であると思われる。

ボロ市で売られているものをザッと見たのだが、洋服や骨董品、植木、台所用具などが多い。もちろん、ボロとしか思えないようなアンティークを売っている店もある。700店ぐらいが出店しているそうだが、なかなかの数である。

あと、このボロ市の名物としては代官餅がある。これは1975年からはじまったものだが、ボロ市の会場でのみ製造・販売されることもあり、ボロ市の名物となっている。実は私は、この代官餅を食べたことがない。今回は、週日ということもあり、それほど並ばずに購入できるのではないかと期待したのだが、30分は待つと言われて買うのを断念した。会議が控えているのと、流石に餅を買うのに30分間待つほどの余裕はないからである。

さて、ボロ市は最近では口コミやネットでの評判もあり、一日あたり20万人が訪れるそうである。外国人の姿も多く見かけた。確かにそこそこ面白いが、これは買いたいと私の物欲を刺激するようなものはほとんどなかった。この点は、同じボロ市でもロンドンのポートベロ・マーケットの方が優れていると思われる。何か商品の展示の仕方とか屋台のデザインがボロ市はお洒落でないのだ。そして、そのお洒落のなさが洗練されたという感じになっていないのがちょっと辛いなと思ったりもする。


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