SSブログ

アメリカの大学の授業料の高さを考える [グローバルな問題]

アメリカのカリフォルニアにある私立大学の先生の訪問を受ける。いろいろと話をしたのだが、先方は日本の大学生は海外への留学希望者が減っているので、日本政府もアメリカの大学の授業料を補填できるよう補助金を考えているらしい。この話に乗っかって、私が所属している大学から、自分の大学に留学するプログラムをつくることを考えないか、という話であった。こちらは、有り難い話ですが、うちの大学は留学希望者がむしろ年々増加しているので、と丁重にお断りした。実際、うちの大学では留学希望者が年々、増えている。オープン・キャンパスでも留学に関する説明会では立ち見がでるほどだ。そして、うちの大学のアメリカの協定校のリストを見てもらったら、先方の大学の先生は度肝を抜かれていた。

おそらく、明学のレベルを随分と低くみていたのであろう。アメリカの留学協定校先は、カリフォルニア大学バークレイ校、ロスアンジェルス校をはじめとして、ロチェスター大学、テキサス大学、ケンタッキー大学、ホープ・カレッジなど、すべての大学が先方の大学より格上であったからだ。さらにヨーロッパに目を転じれば、マーストリヒト大学、ハンブルク大学、エックス・プロバンス大学、オックスフォード大学、アジアはヨンセイ大学、東呉大学、フィリピン大学など、本当、なぜ明学の認定留学先がこんなに高いのか、と説明している自分もたまに不思議になるほどのエリート校だ。それほど、明学の協定留学システムは秀でている。おそらく、偏差値換算すれば日本一であろう(これは、うちの偏差値が高くないこととも関係する)。

さて、しかし、私が書きたいことは、そういうことではなく、先方の大学の授業料の高さである。なんと年間31000ドルである。これは、ざっと計算すると300万円弱ぐらいだ。州立のケンタッキー大学も24000ドルぐらいであったから、まあ不思議ではない数字だが、この高さ、ちょっと尋常ではない。これじゃあ留学したくてもできない。ちなみに、明学の留学制度は協定校先であれば1年間いっても、相手先の大学ではなく明学の授業料で行くことが出来る。すなわち100万円ちょっとだ。これは大変お得である。とはいえ、アメリカの大学はこの価格差を面白くないと思っているらしく、ちょっと経営上問題があるといって、この制度をなくす可能性もあるかもしれない。そうされる可能性はあるが、実際、アメリカに留学した人間に言わせると300万円も払うほどの価値のある授業はアメリカの大学は提供していないと断言できる。まあ、私が行った時は州立ではあったが、大学院で留学生価格でも120万円であった。大学院で120万円であるならともかくとして、300万円の価値があると思うのは、傲慢甚だしい。

実際、アメリカから明学に来ている留学生は、私のような学生と親しくなれるスタイルの講義や先生は、アメリカにはいなく素晴らしい、日本の学生が羨ましい、と言ってくれるものもいる。私も実際、そう思う。この日本的なゼミの徒弟制度のようなスタイルは、アメリカのビジネス・ライクな大学では提供できないものだ。ただ、こういうのは実際、経験しないと分からないことでもある。私の同僚の多くも、私がどのような講義をやっているのかは、北朝鮮の大学の先生が何をしているのかが分からないほど分かっていないであろう。ちょっと話が横道にそれたが、何が言いたいかというと、アメリカの大学の授業料の高さが尋常に高く、しかし、その価値には見合っていないということだ。先日、デンマークのコペンハーゲン大学の学生が私のところに来たが、コペンハーゲン大学は国立ではあるが、授業料が無料なだけでなく、勉強をしているということで、日本円で毎月10万円ほどが奨学金として与えられるそうである。

教育というのは国の投資である。教育された国民は、その国の財産である。アメリカとデンマークという国のこの考え方の違いに多いに驚くと同時に、日本がアメリカを模倣することの愚かさに改めて気づく。教育と医療を民営化させようとするアメリカという国が、どこに向かっているのか。その展望される未来が明るいものである訳がないと思うのは、私だけではあるまい。



nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0