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立山 [日本百名山]

百名山を踏破するという密かな目標を持っている私。今回は立山にチャレンジした。標高2400メートルあるバス・ターミナルの室堂周辺に本来であれば宿泊したかったのだが、満室でできず、仕方がないので富山側の拠点である立山駅周辺にある立山館というホテルに宿泊した。立山駅に東京から鉄道で行くなら、上越新幹線利用のルートがもっとも速いのであるが、高山病対策のために、敢えて初日も立山黒部アルペンルートで信濃大町から立山まで向かった。時間的にも料金的にも条件的には悪いのだが、昨年、チベットにいった時、高山病でひどい目にあったので、少しでも最悪の事態を回避するためにちょっとでも高さに身体を慣らしておきたいと考えたからである。

さて、立山を訪れるのは初めてである。立山黒部アルペンルートは、信濃大町駅からバスに乗り、扇沢まで行き、そこでトロリー・バスに乗り換え黒部ダムまで行き、そこからはケーブル・カー、ロープウェイ、またトロリー・バスに乗ることでようやく室堂にまで着く。この乗り換えはすこぶる面倒くさいが、子供とかは楽しいかもしれない。さて、室堂では晴天に恵まれたので、素晴らしく雄大な展望を鑑賞することができた。その雄大さは北海道でも体感できなかったものだ。一緒に行ったゼミの卒業生のお嫁さんが、「まるで日本じゃないみたい」と述べたが、私も同意である。これは、スイス・アルプスにも匹敵する美しさだ。高山病対策で来たが、美しい夕日が沈む光景も見ることができ、なかなかよい遠回りであった。

室堂での滞在時間はチェックインの時間もあり、15分もなかった。その後、バスで1時間弱揺られ、ケーブル・カーに再び乗って立山駅に着く。18時ちょっと過ぎだ。宿泊したホテルは立山館というところで、駅のすぐそば。そこで泊まり、朝5時30分にはチャックアウト。ウェブで予約をしていた6時の始発のケーブル・カーに乗って再び室堂に向かう。ケーブル・カーに10分弱乗って、バスに乗る。既に日は昇り、朝焼けの中、美しい森林の中をバスはゆっくりと登っていく。途中、落差が日本一という称名滝が展望できるところではバスは停車までしてくれた。さて、室堂の登山口に着いたのは7時ちょっと過ぎ。

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(朝焼けの中、立山駅を発つ)

ロッカーに着替えなどの荷物を預け、玉殿の湧水にて飲料水を汲んで、登山開始である。立山は、雄山(標高3003m)、大汝山(標高3015m)、富士ノ折立(標高2999m)の3つの峰の総称である。立山登山というと、雄山に登ることを指すという指摘もあるので、とりあえず雄山を登る。雄山までは、一の越とよばれる中間点までは、歩道も広く、しっかりとした石畳のようになっており、ハイキング気分で登れて快適だ。右側に秀麗な浄土山を望みながら、雪渓を越えて、一ノ越に着く。ここには、山小屋までもある。この標高は2700メートル。さて、ここから雄山までは仰ぐような急坂である。ほとんど階段を上るようだ。標高差は300メートルではあるが、東京タワーを階段で上がるぐらいの負荷はかかる。また、連休の中日であったこともあり、まるでラッシュアワーのように人が登っていく。幸い、時間が早いこともあって、下りてくる人が少なかったのだが、下りてくる人が多かったら登る時間はずっとかかったであろう。一ノ越経由で室堂から雄山に着いたのはほぼ2時間30分後。9時頃であった。雄山には頂上に雄山神社が鎮座している。ここを参拝するのには500円必要だ。これはお祓い代が含まれているのだが、なんせ立山登山は狭義では雄山登山であり、登頂するにはてっぺんまで行かなくてはどうも据わりが悪いし、ということで雄山神社まで行く。ここからの展望は絶景だ。天気がよかったこともあり、薬師岳はもちろんのこと、槍ヶ岳、白山が綺麗にみえる。剣岳も目の前だ。富士山も見えるとのことだが、これは私はよく確認することはできなかった。

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(玉殿の湧水にて飲料水を汲んで出発)

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(室堂の高原景観)

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(一ノ越に行く途中に出てくる雪渓。しかし、9月だとほとんど溶けているので歩行には問題なし)

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(一ノ越からの展望。槍ヶ岳がばっちりと見える)

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(雄山神社)

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(雄山から室堂を望む)

さて、体力的にもまだまだ余裕なので、大汝山、そして富士ノ折立に向かう。この三山を結ぶルートはほぼ平らであり、難しくはない。30分もしないで大汝山に着く。大汝山には休憩所もあったりして、昼食をとるのには絶好の場所であったが、まだ10時ちょっと過ぎぐらい。したがって、富士ノ折立に進む。富士ノ折立も30分もしないで着く。富士ノ折立では、お湯を沸かしてカップ・ヌードルを食べる。同行した者が、携帯用トースターのようなものを持ってきたので、クロックムッシュも食べる。これは、なかなかグッドだ。そして、ドトールのドリップ式のコーヒーも飲む。いやあ、山の上で食べる食事は美味しい。特にドトールのドリップ式のコーヒーはよい。さて、満腹になったし、時間も12時になったので、下山を開始する。ここは、大走りコースを選ぶ。

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(雄山から大汝山、そして剣岳を望む)

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(大汝山から富士ノ折立、そして剣岳を望む)

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(富士ノ折立)

大走りコースまでの分岐点。相当、急な岩坂を下りなくてはならない。岩はごろごろしていて、しかも大きい。また、結構の大きさでも浮き石であったりする場合もあるので油断は大敵である。右側には雪渓とカール地形が展開する。内蔵助カールである。カールとは氷河の浸食作用によってできた広い椀状の谷であるが、あたかもアイスクリームをスプーンで掬った後のような地形がなんとも柔らかく女性的である。モダニズムではなく、ガウディ的な艶やかさを覚える。

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(富士ノ折立から急坂を下りる)

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(東側には内蔵助カールが広がる)

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(大走りコースの分岐点までは、なかなかの急坂)

さて、大走りコースは一気に雷鳥沢まで下るコースだ。砂利道の下りが結構、厳しい。私はストックを二本持っていたので、膝への負担もたいしたことがなかったが杖なしでは膝に相当くるであろう。斜度はたいしたことはないのだが、距離が長いということ、また岩は浮き石が多くて神経を尖らせなくてはならないからだ。しかし、この大走りコース。エスケープ・ルートとして紹介されたりしていて、あくまでもサブ的な位置づけをされているが、いやあ、立山の山々に囲まれて歩くこのコースは絶景の連続であり、サブ・コースとして位置づけるにはもったいないような素晴らしいルートであると思われる。

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(大走りコースのごろ岩だらけの坂。浮き石に要注意だ)

この大走りコースでは、分岐点から2時間も経たずして雷鳥沢に着く。雷鳥沢はキャンプ場であり、ここにはトイレなども併設されている。このキャンプ場、立山の麓という絶好のロケーションにあり、私が日本でみたキャンプ場の中でももっとも魅力溢れるところであった。こんなところだったら、是非とも、キャンプをしてみたいものだ。さて、しかし、この雷鳥沢から室堂ターミナルは結構の距離がある。地獄谷の強烈なガス臭の中、雷鳥沢から室堂ターミナルへと向かう。最終一本前のバスには、ダッシュをすれば乗れたかもしれないが、みくりが池で記念写真を撮影する方が重要だろうと思い、みくりが池とそこから展望できる立山の山容を十分に堪能する。結局、雷鳥沢から室堂までは45分ほどかかった。

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(雷鳥沢のそば)

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(みくりが池から立山の峰々を望む)

室堂からは、とりあえず来たものを乗り継いで扇沢に向かった。しかし、扇沢と大町間は、臨時バスは運行されておらず、結局、最終バスに乗らなくてはならない状況になった。そこでタクシー乗車を検討する。バスの料金は1300円ちょっと。タクシーは6200円だ。4人で乗れば、それほどの金額差はないということで、タクシーに乗って信濃大町へと向かった。一人あたり250円余計に払うことで、列車は最終の一本前で新宿に帰ることができた。新宿駅に到着したのは10時ちょっと過ぎ。最終の特急で帰ると10時30分ぐらいだったのでタクシーで帰ったのは大正解であった。

ということで、1泊2日で非常にゴージャスな山登りができた。日本には、大雪山とか知床、利尻島、八甲田、大山、阿蘇山、屋久島など美しい場所が多いとは思うが、立山はこれまで訪れたどこにも勝るとも劣らない美しい土地であった。何で今までこなかったのか、と不思議に思わせるほど素晴らしい場所であり、感動した。百名山にトライしようというドン・キホーテ的な発想がなければ、もしかしたら一生、ここを訪れることがなかったかもしれない。そう思うと、百名山を踏破する目的というのは、意外といい人生の目的かもしれないと思ったりする。

備忘録的に、これまでの百名山の挑戦を記すことを許してください。

2013.09:立山
2013.06:赤城山
2012.10:雲鳥山
2012.05:石鎚山
2011.10:甲斐駒ヶ岳(未達)
2011.06:大菩薩峠
2011.06:金峰山(未達というか積雪のため断念)
2011.06:瑞牆山

これ以外にも蓼科山や妙高山などは勝手に登っていたりするのだが、基本的には、百名山に挑戦しようと決意した2011年3月を起点として踏破を目指したいと考えている。
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