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川内村の獏原人村の満月祭を訪れる [サステイナブルな問題]

福島県川内村の山中に獏原人村というコミューンがある。このコミューンは、夏の満月の日を中心に満月祭というのを開催しているのだが、その二日目に訪れたのだ。獏原人村は、1977年頃、マサイさんが仲間達と理想郷を目指して、この福島の山奥に住みついてつくったコミューンである。こんなオーストラリアのクリスタル・ウォーターや、カリフォルニアのクリアレークのような場所が福島にあったなんて驚きだ。私がこのコミューンを初めて訪れたのは去年の5月で、その時に満月祭のことを知って、去年も参加したかったのだが、ちょっと仲間のスケジュールが合わず、今年はバンド仲間とともに参加したのである。

マサイさん達は、ここで畑をやって、田んぼをやって、そして鶏を500羽ほど飼っていて、その卵を売って生計をたてているそうだ。あと、勝手な推測かもしれないが、この満月祭もちょっとはプラスになっているんじゃあないかな、とも思ったりする。もし、そうであるなら、満月祭に参加するだけで、獏原人村を支援していることになるかもしれない。そう思うと、ちょっと嬉しい。

満月祭を訪れた人は、日本のどこにこんな人達がいるのか、といった風情の人が多く、皆、ロン毛で髪の毛を後ろに結んでいて、なぜか男性は上半身裸で、女性はサリーのようなものをまとって、まあ、一言でいえばヒッピー達であった。テントにおいてある旗のようなものもグレートフル・デッドのものだったりして、この人達にとってはデッドの存在が大きいのだろうなあ、と思う。

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マサイさんは、本当、仙人のような感じの優しく、何でも受け入れる、という感じの人で、我々のバンドの演奏の申し出もいいよ、いいよ、という感じでイージーに承諾してくれたので、とことことやってきたのだけど、蓋を開けてみたら、なんと、我々以外はほとんどがプロであった。我々の前に演奏したバンドは、ギターとボーカルとドラムというベースがない構成であったのだが、ドラムの上手さが半端ではない。いや、派手なことは一切しないのだが、リズム・キープとグルーブの出し方が上手いのだ。ミキサーの人に、このドラムの人は尋常じゃなくて上手いですね、と言うと、「だって、プロだよ」との返事。これで、結構、あがった我々は、準備をしていた椎名林檎のコピー曲ではなく、オリジナルを最初の二曲にぶつけることを急遽、決めた。オリジナルの曲は、どうにか、そこそこ受けたのでよかったのだが、その後、私が楽屋で一人片付けをしていたら、ふらっと男の人が一人で入ってきた。もう、なんか強烈な存在感を放っているのを感じる。「どうも知久といいます」と挨拶した彼の顔をみると、なんとたまの知久寿焼が、マンドリンを持って立っていた。ちょうど土砂降りの雨が降ってきて、二人だけ楽屋で雨宿りをすることになる。いやあ、超緊張したなあ。とはいえ、ちょっとお話をすることができた。いや、「雨、酷い降りですね」とか「なかなか止みませんね」とかいう会話だけでしたが。それにしても、我々は図らずもたまの知久さんの前座をしてしまった訳である。

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(満月祭の様子)

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(舞台の様子)

まあ、そんなこんなで貴重な経験をすることができたのだが、出演する1時間ぐらい前までは、久しぶりに本当にボーッとすることができた。ピクニックして、ビニール・シートの上で昼寝をしたりして。いろいろと日々、追われすぎているからこそ、このようなリトリートをすることが必要なのだな、とも思ったりもした。獏原人村のようなところを知ると、本当に、肩の力が抜けて、「そんなに急いでどこ行くの?」という気持ちになれる。とても、その存在が有り難いなと感じると同時に、このようなコミューンの放射能値が0.40マイクロシーベルトであるという事実に、本当にやるせない気持ちになる。原発推進派とはまったくもって正反対に位置する、このようなコミューンが放射能汚染されているという理不尽さに、私は呆然とするような喪失感を覚えるのである。まあ、同様のことは飯舘村のパーマカルチャーを実践していた農家の方々にも言えるのであるが。

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