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学生による脱原子力の研究発表で多くが日本原子力文化振興財団のデータを用いていたという不思議 [原発問題]

私の大学の講義で、「日本はなぜ脱原発できないのか」という学生発表をやらせてみた。すると多くの学生が、エネルギーを安定的かつ適切に供給するためには原子力発電が必要であると主張した。そして、その根拠として「日本原子力文化振興財団」のデータを用いていたのである。これは、「原子力文化」の社会への浸透、定着を目指している団体であり、中部電力株式会社顧問が理事長を務めるごりごりの原発推進組織である。
 なぜ、このような組織のデータを揃いも揃って、用いるのか不思議に思ったのだが、なんと「ドイツのエネルギー」とグーグルで検索すると、この組織のホームページがトップに来ることが分かった。このホームページ上では、「日本原子力文化振興財団」という名前は一切出てこないが、その英語名JAEROとは出てくる。そして、ホームページのタイトルは「エネコチャンネル」とされている。
 このホームページでは、「ドイツのエネルギー事情はどうなっているの?」というタイトルで次のように解説されている。
「ドイツでは、電気の44%を石炭火力、23%を原子力によって賄っています。1990年代からは太陽光、風力、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの開発を積極的に進めていますが、全体の15%程度でしかなく、原子力でまかなっていた電力を今後どのように確保していくかが、大きな課題となっています。政府としては、再生可能エネルギーのシェアを2020年までに少なくとも35%まで拡大する計画です。(2012年3月現在)
福島第一原子力発電所の事故以降、ドイツ国内の原子力発電所の停止が相次いでおり、電気の80%を原子力で賄うフランスと、25%を原子力で賄うチェコから、電気を輸入しています。」
https://eneco.jaero.or.jp/important/world/world07.html

そして、再生可能エネルギーを除外した、エネルギーの利用割合の円グラフが示されている。
 このグラフや、解説を鵜呑みにした学生は、ドイツは原発をフランスから輸入してもらっているから大丈夫だが、日本は駄目だ、という結論にたどりついてしまっている。そして、例えば、次のような事実を全く無視している。
「ドイツのシンクタンクInternationales Wirtschaftsforum Regenerative Energien(IWR、再生可能エネルギー国際経済フォーラム)は2013年4月18日の正午、ドイツ全国の電力のうち、50%以上を風力発電と太陽光発電がまかなったと発表した。
 欧州の主要な電力取引所であるEEX(European Energy Exchange)のデータによれば、風力発電と太陽光発電の合計が初めて36GWに達した。これは原子炉30基分以上に相当する出力だ。IWR所長のNorbert Allnoch博士によれば、長期休暇などを除き、電力需要の多い平日に50%を達成したのは初めてのことだという。」
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1304/23/news022.html

ご存知の人は多いが、お金を支払えば、グーグルでキーワード検索した時にトップの方に上がるようにすることができる。その重要度から考えると、「ドイツのエネルギー」と検索して、「日本原子力文化振興財団」がトップに来るのは極めて怪しい。おそらく、こういうところでも広告費を使っているのではないかと思われる。本当、原子力推進派は人をなめているというか馬鹿にしているな、とつくづく思われる。もちろん、まんまと引っかかってしまった学生達の情けなさは論を待たないのだが。

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