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直島を訪れる [地域興し]

 香川県にある人口3千人強の直島。この直島はアメリカの旅行雑誌Travellersに世界で訪れるべき7観光地の一つとして紹介されたことがある。その効果なのかどうか。多くの海外の観光客が訪れる日本の数少ないMust See観光地である。私のイメージは、直島はベネッセの島。さらには、安藤忠雄がベネッセのために設計した美術館のある島というものである。そんなに悪くはないのだろうが、世界で訪れるべき観光地として、日本で唯一選ばれるようなものではないだろうと思っていた。しかし、私の友人であるチェコ人は、直島を絶賛する。彼は母親をはじめとして、彼のヨーロッパの知り合いを日本に連れてくると、必ず直島に連れて行く。東京を素通りしても直島に連れて行く。というか、日本で3日間しか滞在できないような場合でも、東京ではなく京都までパスして直島にとりあえず行かせる。この彼の行動を私はとても奇異であると思っていた。
 しかし、もしかしたら、私だけが知らなくて、本当はTravellersやチェコの友人の方がよく知っているのではないか、という疑念もなかった訳ではないので、機会をみつけて訪れたのである。というか、本当は香川大学の古川先生が学生達と運営しているカフェを見るのが目的なのだが、そのカフェが直島にあったので訪れたのである。
 さて、直島は高松からアプローチした。岡山の宇野からもアプローチできるのだが、高松にいたので、高松から。フェリーは50分くらい。古川先生らと一緒に乗っていたので、おしゃべりをしていると50分はあっという間である。直島のフェリー乗り場にはいきなり、草間彌生の赤カボチャ。テントウムシの遺伝子を入れたカボチャのような風情でインパクトがある。

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(草間彌生の赤カボチャ)

 直島は20年くらい前から、アートによる島興しのような試みをしてきている。そもそものきっかけはリゾート・ブームの90年前後に藤田観光が島の南端にリゾート開発をしようと土地を購入したのがきっかけである。しかし、リゾート・バブルがはじけて、開発は頓挫。というか、何でこんなところでリゾート事業が成立すると思えたのか、改めて不思議なことであるが、将来構想のない土地だけが残り、それを地元の大企業であるベネッセが買い取ったのである。ベネッセの社長と、直島の町長さんはお友達であったようである。
 そういうことで、ベネッセがリゾート開発をするのであるが、藤田観光とベネッセの大きな違いは、ベネッセは直島という資源に依存することなく、まったくもって島との関連性のないアートという付加価値をこのリゾートに付け加えたことである。それは、直島という土地性を無視した方法論であり、自然型リゾートというよりかは都市型リゾートの開発手法であったが、これがうまくいく。まず、安藤忠雄という日本建築界のスーパースターにホテル兼美術館の設計を依頼する。そして、島全体をミュージアム化するという戦略を立てる。この戦略自体はベネッセが考えたのか、町長が考えたのか、誰が考えたのかは私は不明であるのだが、まあ、そういう地域戦略を策定したのである。
 そして、それがうまく行く。なぜ、うまく行ったのかを分析するほど、私には情報も知見もないのであるが、一つ分かったことは、圧倒的なアートの量的多さであろう。どこにいってもアートという感じである。また、もう一つは、この直島がアートをインストレーションするうえでは極めて背景として優れていたことであろう。海賊の島、直島は豊かであったことはしっかりとつくられた家々から伺うことができる。そして、プレハブ的な現代建築が少なく、長閑で美しい町並みを維持していたことが、現代芸術と興味深いハーモニー、少なくとも欧米人からすると刺激的な調和を生み出したことが、ここを魅力的にした要因なのではないかとも思ったりする。
 私も結構、面白く来た甲斐はあったかなと思わされた。とはいえ、日本を代表する観光地かというとそれはまったく思わない。京都の寺や、礼文島や知床、摩周湖などの北海道の自然、妻籠や高山などの方がよほど訪れる価値はあるでしょう。しかし、直島の本当の魅力はベネッセハウスにあるようで、ここに滞在していない私は本当の評価はできないのだ。まあ、宿泊費は最低でも2.5万円ということだそうだから、金持ちのための観光地であるということは確かなようだ。金持ちになったら、私もここの真の価値が分かるかもしれない。

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