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太田市の太陽発電政策を視察してくる [サステイナブルな問題]

群馬県太田市は太陽光発電に力を入れており、昨年の9月には定例市議会において「太陽光発電推進のまち おおた」都市宣言に関する決議までしてしまった。ということで、太田市は太陽光発電の先進都市であると内外に発信すべく、都市宣言を昨年の12月に制定した。ちょっと長いが紹介させてもらいたい。

「太田市は、金山と八王子丘陵の緑を有し、豊かな自然環境のもとで歴史と文化に育まれてきました。
 また、本市は年間を通じて日照時間が多く、太陽の恵みを豊富に享受できることから、世界最大の太陽光発電団地「パルタウン城西の杜」や自治体単独では初となるメガソーラー「おおた太陽光発電所」などの施策を展開し、太陽光発電の推進に取り組んできました。
 地球温暖化対策や再生可能エネルギーへの転換などの課題に直面している今日、市民と一体となって太陽光発電の更なる導入を図り、クリーンエネルギーによる自然にやさしい都市を目指し、ここに「太陽光発電推進のまち おおた」を宣言します」

太陽光発電に力を入れている自治体は、太田市だけではないが、太田市は2012年から1500KWの「おおた太陽光発電所」が発電を開始し、自ら電気をつくる自治体となったのに加え、世界最大規模の太陽光発電団地である「パルタウン城西の杜」があることや、エコハウスのモデルハウスなどを建設しているところが、他の自治体と差別化できる点なのではないかと考えられる。「おおた太陽光発電所」より発電量の大きい自治体の施設がないわけではない。北海道稚内市の「稚内メガソーラー発電所」(5020KW)や新潟県阿賀野市の「新潟東部太陽光発電所」(2000KW)である。しかし、太田市はさらに二つのメガソーラー発電所を計画していることなど、さらに増強しようとしていることや、啓蒙教育に力を入れていることなど、太陽光発電推進のまち、と高らかに宣言したことなどを鑑みると、太陽光発電の先進都市と捉えても間違いないかと思われる。

ということで、太田市を訪れ、太田市の職員などにも取材をさせてもらった。そこで分かったことを以下、整理してみたい。

太田市が太陽光発電に取り組むようになったのは2001年からである。2010年までは市民向けで太陽光パネルの設置に際して、太田市の金券を提供していた。30万円に該当する金券を提供したのである。太陽光にしたのは、太田市の中で一番、期待できる再生可能エネルギーであったからだそうだ。風力は冬しか風が吹かないので不向きであり、中小水力も山がなくて難しい。減点法で太陽光が一番、向いていたのが太陽光にした理由だそうだ。

基本的に再生可能エネルギーに力を入れるようになったのは、トップの方針であるからである。市長が街づくりの中で「自分の使う電力は自分のところで作りたい」と考え、再生可能エネルギーを取り組んだものをしていきたいという思いが一番の理由であるそうだ。

太陽光発電所があることのメリット、デメリットであるが、メリットは注目されること。また、当初より売電収入が上がっているので、直接収入という部分でもメリットがあるそうだ。現時点では、発電した電気はすべて東京電力に買ってもらっている。これは、売った方が儲かるからだ。23円ぐらいで買って、42円ぐらいで売っているから、確実に儲かる仕組みになっている。専用線をつくる経費がかけられないので、全部、売電しているという事情もある。

太陽光パネルであるが、買わないで、リース契約による事業展開としている。20年間のトータルを考えると自己資金より高くなるかもしれないが、この方法だとリスクは少なくなる。福島原発事故の影響に関しては、原発に対しての反発とかよりかは、太田市が計画停電エリアになったことが大きいそうだ。また、太陽光のシステム価格は昔に比べると、安くなっているのも追い風となっている。

太田市の話を聞いていて、売電価格はそのうち安くなると推察されるので、今こそ事業展開すべきであることが理解できた。このまさに追い風が吹いている中、うまく太陽光発電を始め、再生可能エネルギーが離陸できるような環境が整っていければ望ましいと思うと同時に、太田市の先進的な試みをフォローする自治体が増えていくと日本のエネルギー事情もより自立的なものになるのではないかと考えた。

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(市北部にあるおおた太陽光発電所)

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(北部公園の駐車場に設置された太陽光パネル)
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