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落合博満『采配』 [書評]

飛行機で移動するのに読む本がなかったので、適当な気持ちで本書を買った。しかし、本書はプロ野球本としてはもちろんのこと、ビジネス書としても戦略本としても極めて傑出した本であり、本と出会えてよかったと思わせられるような良書であった。落合博満という人間には前から興味は抱いていたからだが、本書を読んで彼の考えの緻密さ、そして分析力、洞察力の鋭さに驚いた。中日が落合監督のもと、8年間で4回もリーグ優勝したことがフロックではなく、当然の結果であると思わせるほど、彼の監督としての資質が優れていることが本書から読み取ることができる。文章もうまく、ゴーストライターが書いたのかとも思わせるが、いやはや、例えゴーストライターが書いたとしても、そのコンテンツの素晴らしさはそこらへんのビジネス書では太刀打ちできないほど優れている。というか、超一流の人間にしか見えないことが内容として書かれている。ページは280頁であるが、彼の発言を大見出しに書いている頁が多く、実質的にはその半分くらいの内容しかないが、その内容の密度が濃いので、そのような不満もぶっ飛んでしまう。落合流と揶揄されたりした彼であるが、その行動にはしっかりとした根拠があったことが本書からは読み取れる。これまで、落合監督を批判した野球評論家(例えば、江本)やマスコミ、そしてマスコミへのサービスが今ひとつという理由で解雇した中日新聞は、この本を読んだら穴に入りたくなるだろうなあ。特に、中日は落合を監督にして賢いなあ、と思っていたのに、解雇したりして、実は賢くもなくただ適当に選らんだのだな、ということが本書を読むと分かる。

采配

采配

  • 作者: 落合博満
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2011/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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