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スイスにてプロ・ホッケーの試合を見る [グローバルな問題]

 スイスのツークという町にて、プロ・ホッケーの試合を明学に留学していたスイス人の学生ラファエル君と観戦する。これは、ラファエル君の提案であったのだが、素晴らしい提案である。プロ・ホッケーの試合を観るということも興味深いが、スイス人の知らない側面を知れるかもしれない。ということで、多少、わくわくとして訪れる。チケット代は54スイス・フランとなかなか高額であるが、ラファエル君の知り合いがチーム関係者であったこともあり、彼の力でチケットを半額で入手することができた。
 ツークは人口が3万人程度の小都市なのだが、プロ・ホッケー・チームを持っている。しかも、スタジアムは結構、立派である。3万人とはいわないが1万人程度は収容できるのではないだろうか。スタジアムは満席ではなかったが、7割ほどは埋まっているようであった。
 さて、試合前の練習中には、レッド・ツェッペリンのホール・ロッタ・ラブが大音響で流れていた。ZZ TopのタッシュやAC/DCのバック・イン・ブラックも流れ、なんかもろアメリカ的な演出が為されている。ラファエル君によると、これは最近の傾向であるそうだ。つまり、スイスのプロ・ホッケーも単純に試合を楽しむというよりかは、エンターテイメント性をもたせて、いろいろと儲けられるように商業主義に傾いているようなのだ。例えば、このツークのチームもこの2年間以内に、お洒落なスタジアムを建設し、法人用の接待席を設け、さらにはバッファローのロゴなどもつくるようにしたそうだ。同様のことは、敵方のルガノのチームでも同じで、お金のあるチームは積極的にアメリカのプロ・スポーツのようなマーケティングを図っているそうである。そして、その結果、コアなプロ・ホッケー・ファンよりも、ファミリー層やレジャー・ニーズの高い裕福層を取り込もうとしているらしい。それまでは、スイス人はアイス・ホッケーの試合は立って観戦していたそうだが、アメリカのように、座って観戦させようとしているそうだ。一部、このスタジアムでも立って観戦する場所があったが、それは大きなガラスの壁によって隔離されていた。これは、立って観戦している観客は熱狂的なファンが多くて、暴動を起こしがちだということが理由のようだ。しかし、このガラスの壁によって隔離されてホッケーの試合を観ている人達は、動物園の檻に閉じ込まれた動物のように見えて、ちょっと惨めな感じに映った。このガラスの壁には「スタジアムは劇場ではない」となぜか英語で書かれた垂れ幕が張られてあった。
 今日の試合は、このツークとルガノの対戦であった。ルガノはイタリア語圏のチームなので、チーム紹介はドイツ語だけでなくイタリア語でもされた。スイスのプロ・ホッケー・リーグのレベルは、アメリカ、ロシア、スウェーデンに次いで4番目くらいであろうとラファエル君は分析してくれた。外国人枠が4人まであるそうだ。ツークもルガノも去年、プレイオフには進出したというので、そこそこ強いらしいのだが、ラファエル君はこの2チームのどちらも嫌いなので、面白くなさそうに試合を観ていたが、ビールを飲むにはいい環境だ、と私が言うと、そうだそうだ、と納得した。ということで、二人で結構のピッチでビールを飲んだ。つまみはチリ・ドッグやプレッツェルである。アメリカの球場でのつまみはもちろん、ドイツのつまみより美味しい。つまみが美味しいというのはいいことだ。しかし、私は2.5リットルはビールを飲んだので、結構、酔いが回った。ドイツでのビール三昧の経験から、2.5リットルくらい飲むと私はビールだけでも酔っ払ってしまうのだが、通常は、物理的にも厳しいのでそんなに飲めない。しかし、今日はホッケーの試合のこう高揚させるような雰囲気と、ラファエル君との会話が楽しかったので、飲んでしまった。
 試合は3−0でアウェイのルガノが勝った。観客はすこぶる冷静で、ああ負けちゃった、という感じで帰路についた。なんかお行儀がよい。スイスではホッケーの人気は、サッカーに次いで二番目だそうだが、例えばドイツのブンデス・リーガでの狂気のようなものはまったく感じられなかった。
 さて、それにしても明学に来ていた留学生と母国で会って、いろいろとガイドをしてくれることは大変楽しい。大学教員という仕事の素晴らしい役得であると思う。
 
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