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『原子力戦争』 [映画批評]

 タイトルに惹かれて思わず買ってしまったが、シナリオも俳優達の演技も今ひとつ。山口小夜子のミステリアスな風貌は存在感があるが、演技は悪いけど、これ以上ないほどの大根役者である。他も原田芳雄と新聞記者を演じている役者を除けば、本当演技はひどい。自分の妹の殺しに関与したかもしれないと言われて、そのまま沈黙する兄。激高するか、沈黙したら、その後、普通は自白するだろう。やくざも全然、迫力がなくて台詞の棒読み。大学生が制作するような映画で見られるような演技である。しかも、原田と風吹ジュンしか知らないはずの原田の宿に、新聞記者が突然現れるなどストーリーも解せないところが多すぎる。
 とはいえ、痛快なところもあった。それは、映画のストーリーとまったく関係なく、原発の現場を撮影しようとすると、守衛の人達が禁じるところがそのまま流されているところである。また、原田芳雄がその事務所に入ろうとすると、「不法侵入ですよ」と言われたりもする。それをそのまま編集しないで流している。ここは素晴らしい。あと、エンディングはそれほど悪くない。
 それにしても、原田芳雄はどうして、乳首を見せようとするのか。まったく分からないし、あと、しゃべり方もあまりにも雑っぽい。当時は、こういうのが格好良いと思われていたのかもしれないが、そう思うと興味深い。また、原田芳雄が泊まっている家や、スナックに裸の女性のピンアップが貼られている。こんなところにも時代が感じられる。ということで、映画作品はともかくとして、時代考証、そして福島原発周辺の風景を知るうえでは有益だ。あと、特典映像の田原総一朗の取材映像は悪くない。これは、ちょっと資料的な価値はあると思われる。

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