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福島県川内村を訪れる [原発問題]

福島県川内村を訪れる。福島原発事故で、全村避難を余儀なくされたが、今年1月に村長が帰村宣言を出して村民に帰村を促した。震災前の人口は約3000人で、帰村者は6月4日時点で約250人ほどである。川内村では、数名の人とお話をする機会を得た。大気の汚染はそれほどではないことは明らかである。私もガイガーカウンターをこまめにチェックしたが、いわきから国道399号で峠を越えた時こそ0.5マイクロシーベルト毎時と高かったが、村役場の周辺では0.1マイクロシーベルトと生活にも支障がないレベルである。問題は、土地の汚染である。いわき市でもそうだが、大気は大丈夫ではあるのだが、肝心の食べ物がどの程度、安全であるのかが不明である。村には自主的に放射能を計測できる機械で、測定希望者に計測サービスを行っているのだが、20ベクレル以下だと測定ができない。現在、国の基準は100ベクレルであるので、20ベクレル以下であれば大丈夫なのだが、それでも人々の不安は消えない。村内の人々は、国の言っていることや山下さんのような学者の言っている放射能楽観説をできれば信用したい、という気持ちを持っている。しかし、そこで信用することで馬鹿を見るのが自分たちであることも自覚している。とはいえ、楽観説に依存できなければこの村では生きていけない。とても辛い状況に立たされていることを改めて知り、原発の凄まじいほどの暴力に怒りさえ覚える。なぜ、このような状況が現在進行形で進んでいるのに、大飯町を始めとした福井県、佐賀県の人達が原発を再稼働させようとするのかはまったく訳が分からない。このような悲しい思いをするのは、福島の人達だけで十分である。彼らのリスクを背負って生きていこうという生き様には感動に近いものを覚えるが、彼らは他の人には自分たちのような思いをさせたくない、自分たちだけで十分である、という気持ちを有していると思う。その思いに応えようとしない人々の気持ちを私はおそらく死ぬまで理解できないであろう。

その後、福島第一原発の見える丘の上まで行く。距離にして12キロメートル。その姿が忽然と眼前に現れた時、背中に悪寒が走り、身震いをしてしまった。その禍々しい建造物は、美しい海と誰も住んでいない田園地帯の中にポツンと建っている。なぜ、人類は、そして日本人はこんなものを造ってしまったのであろうか。そして、その後悔をどうやって明日へと肯定的に繋げていくことが可能なのであろうか。ガイガーカウンターが示す1.17マイクロシーベルト毎時という凄まじい放射能を身体に浴びつつ、私は、日本という素晴らしい国、そして国民の運命を奈落の底に落とした建物としばらく対峙していた。

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(福島第一原発)

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(ガイガーカウンターは1.17マイクロシーベルト毎時を示していた)
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