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野田佳彦首相の大飯原発再稼働の発言の軽薄さと破廉恥さ [原発問題]

 野田佳彦首相は8日夕、首相官邸で記者会見した。そこでの発言をいくつかピックアップする。
「原発は重要な電源だ。国民生活を守るために再起動すべきだというのが私の判断だ」。
「日常生活への悪影響をできるだけ避ける。原発を止めたままでは日本社会は立ちゆかない」。
「夏場限定の再稼働では国民生活は守れない」。
「事故は決して起こさない」。

 私はいろいろと問題も多いが、それでも民主党は自民党よりは遙かにましであると思っている。これは、二世、三世議員といった世襲議員が少なく、政治家になりたいと純粋に思って政界に入った人が多いからである(鳩山さんとかは違うが)。そして、野田首相は、そういう意味からも、鳩山、麻生、安部、福田、小泉といった最近の首相に比べてはるかに政治家としてはしっかりしていると思っていた。
 とはいえ、今回の発言はあまりにも、今の日本の状況を考えると国民に対して無責任で軽薄で破廉恥である。いや、野田さんは企業のことは考えているので、企業やそして福井など原発によって短期的に潤う地域に対してはそれなりに配慮をしているということなのであろうが、国民全体に対してはあまりにも馬鹿にしている。
 まず、「原発が国民生活を守る」というが、その原発によって、福島をはじめ、東日本の人達の生活がこれほど危機的状況に晒されているのに真逆のことを言っている。このように東日本の一部かもしれないが、日本人通常の生活が危機的状況に晒されているのは第二次世界大戦後、初めてであろう。東京湾のセシウム汚染がこれから本格化するなか、原発が国民生活を守るというのは、あまりにも福島を初めとして関東の人達を馬鹿にしていないか。
 あと「原発を止めたままでは日本社会は立ちゆかない」というのも違うであろう。この時点でも、まだまだ節電の余地はある。確かに、現時点での極端な原油高や、再生可能エネルギーによる発電価格の高さなどから、企業活動するうえで、電気代が高いことは経営圧迫に繋がるかもしれないが、原油がこのような高価格で推移し続けるとは思えないし、また、再生可能エネルギーでの発電価格は、ドイツでみられるように技術革新とともに減少していく。野田さんの発言の背景には、「このまま日本社会が原発なしでやっていくと、原発なしでもやっていける」ことが露呈することの焦りがあると思われる。
 そして「事故は決しておこさない」という発言。これは、万引きが発覚した直後に、もう二度としません、という中学生のようなもので、とても信用できないし、あまりにも言葉が軽いであろう。驚くことに相変わらず、保安院が原発の管理をしているような体制で、どうして「事故は決しておこさない」などと平気に言えるのであろうか。

 ということで、予期はしていたことではあるが、野田さんの記者会見の内容をみて、改めて心底、この国の政治に絶望させられるのと同時に、これで日本という国は沈没するであろうな、ということをほぼ確信する。そして、これは日本の歴史の教科書には載らないことではあるだろうが、他国の世界史の教科書には、この野田さんの発言は掲載されることになるだろうと思う。日本が沈没することになった歴史的な決断をしたことによって。
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