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シアトルの公設市場であるパイク・プレース・マーケットを訪れる [都市デザイン]

 1907年に設置されたシアトルの公設市場であるパイク・プレース・マーケットを訪れる。公設市場で現在も営業しているものとしては、アメリカでも最も古いものの一つである。アンティーク・ショップ、コミック・ブックや切手・コインなどの収集家向けの店、マリファナ用品店、そしてチェーンではない家族経営のレストラン、魚屋、八百屋などがテナントとして主に入っている。また、地元の農家、漁師が販売する空間も確保されている。これらは、一日賃貸料を払うことで利用できる。
 このマーケットは1973年以来、パイク・プレース・マーケット保全・開発公社という準公共体が管理しており、テナントなどもここが決めているそうである。そのため、利益重視というよりかは、このパイク・プレース・マーケットらしさを維持するための店舗に入ってもらうことを留意しているようだ。パイク・プレース・マーケットには、この保全・開発公社とは別に後援団体(constituency)もあり、また、歴史的マーケット委員会というものも存在する。この委員会は、「シアトルの魂」でもあるパイク・プレース・マーケットの空間的そして社会的特徴を維持することを目的としており、そのため同マーケットの変更に関しては、例えそれが保全・開発公社のものであっても認可権を有している。
 このようなセンス・オブ・プレイスを維持する努力がされていることもあり、パイク・プレース・マーケットはなかなか個性ある場所となっている。これは観光客にとっては大変、楽しく有り難いことであると思われる。さらに、観光客を多く集客する場所ではあるが、地産地消の機会を提供する市場としても機能している(とはいえ、八百屋系はお土産系に比べると売り上げは今ひとつらしいが)。公共空間としては、立地といい、その管理といい、一つのモデルとなるような場所であると思われる。
 パイク・プレース・マーケットの年間訪問客は1000万人である。もうちょっと多いような印象も受けるが、シアトルという都市の個性を構成する魅力溢れる公共空間である。

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(地元の農家が出店している)

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(ユニークなテナント構成。これらは観光客向けか)

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(魚が多いのは、地域性を反映させているでしょう)
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