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『バブルへGO!!』を観て、バブル時代のことをちょっと考える [映画批評]

 バブルの崩壊を阻止させるために、1990年3月に大蔵省の「土地関連融資の抑制について」(総量規制)を阻止するために2007年からタイムマシンで1990年に飛ぶ母娘と、財務省(昔は大蔵省)の官僚を中心に展開させるコメディ。映画で指摘されている800兆円以上の借金で日本経済はあとちょっとで崩壊、ということと、この総量規制とはそれほど関係性がなく、実際はバブル崩壊後の小淵首相の「世界最大の借金王」発言にもみられる後先みない大量の公共投資、財政出動が、この借金の要因ではあるが、まあ、そういう細かい突っ込みは、この映画を観るうえでは野暮過ぎるであろう。バブル時代の狂騒と風俗、飯島愛(これが映画では遺作となる)、飯島直子、ラモスのカメオ出演などを軽い感じで楽しんで観れば、十分、面白い作品であると思う。そして、何より広末涼子と阿部寛両主演のコメディアンぶりがいい。彼らの魅力が、この映画を退屈せずに最後まで一気に観させてくれる。あとバブル時代を謳歌した人達は、ちょっと懐かしく思えさせてくれる映画でもある。
 しかし、私事であるのだが、私はまさにバブル世代である筈なのだが、広末が映画で叫ぶ「バブル最高」という感覚を覚えたことはほとんどない。というのは、バブル時代は、一方で仕事が有り余っていた時代だったので、仕事に忙殺されていたからだ。たまに六本木などに行っても、これは性格の問題だろうが、なんか浮いている感を覚えたというか、その時代のリズムに同期することはできなかった。むしろ、バブルが崩壊して仕事が少なくなって、少しは仕事の質を高めることができるようになって当時はほっとしたりしていた。また、バブルの頃はスキー場などが本当に混んでいたのだが、バブルが崩壊して空いたのでとても嬉しく思ったりもした。とはいえ、あの時代を過ごしていたにも関わらず、バブルが楽しいと思えないことは、ちょっと寂しいことでもあると思う。同世代の人に、「バブルは本当に楽しかったですよね」と言われても、私は何が楽しかったのかがよく分からないからである。
 ただ、この映画の元ネタであるホイチョイ・プロダクションが描く「気まぐれコンセプト」の広告代理店で働くヒライ君にとっては、本当に楽しかったんだろう。彼らがなぜ、楽しかったのか、それを知るうえでもちょっと貴重な史料的な価値もある映画であると思われる。


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