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牛の生レバーと原発 [原発問題]

厚労省は、生食用の牛レバーを販売禁止する方針を3月30日に打ち出した。レバ刺しを定番メニューとしてきた焼き肉店やホルモン店はこの決定に不満だ。全国食肉事業協同組合連合会は、販売禁止による損失は約300億円であるとみる。同連合会の小林専務理事は「どんな処理をすれば食べられるか探る努力をしないで、ただ規制することに憤りを感じている」と話しているそうだ。また、主婦連合会の佐野事務局長は「レバーの生食に食文化と言うほどの歴史はない。一方で毒リスクは高く、判断は妥当なのではないか。最近、大きな集団食中毒がなかったことの方が、むしろ不思議に感じていた」。

今回の厚労省の決定、随分と乱暴だな、と個人的には思う。そもそも、生レバーは消費者が食べるかどうかを判断する。生レバーが危険であると思う人は食べなければいいだけで、食べる人がいるから、食べない人が迷惑を被るものではない。食べる人の自己責任である。それなのに、お上が禁止するのはちょっとやり過ぎであろう。

一方で原発はなかなか運転を禁止してくれない。原発は生レバーと違って、自分は原発の電力は使わないようにしても、隣の人が使っていて、その結果、原発が事故を起こしても、原発でつくられた電力を使っていた人も使っていない人も同様に被害を被る。これこそ、お上が積極的に規制をすべきことであろう。囚人のジレンマ的な状況になってしまい、それじゃあ、俺も使うかという気分になって、結局、カタストロフィーを招くことになりかねない。原発でつくられた電力を使っている人のみが、カタストロフィーのコストを負担すべきであるのに、すべての国民にその負担を強いている状況は、おそろしく歪んでいる。生レバーより、はるかにお上が禁止すべきことであろう。そのような歪みを是正するために政府は存在するはずなのに、政府がむしろ原発を推進しているのであるから、どうにもならない。しかし、原発をも止められないのであれば、生レバーを販売禁止するのは、私には大いなる矛盾に映ってしまうのである。

主婦連合会の佐野事務局長も、生レバーより原発廃止に取り組むべきであろう。「最近、大きな集団食中毒がなかったことの方が、むしろ不思議に感じていた」のではなく、原発の場合、「最近、大きな事故が起きてしまったのであるから」。生レバーなんかで気を取られている余裕はないだろう。ヨーグルトや柑橘類から相当量のセシウムが出ていることに、危機意識を持つべきであろう。「大きな集団食中毒が起きるかもしれない」という将来への危機に対処するのも重要だが、今、現実に目の前に起きてしまった事故を再発させないことに力を入れるべきだと思うのである。

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