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世論調査では、原発の運転再開にたったの57%しか反対していないことにショックを覚える [原発問題]

3月14日付けの朝日新聞から引用。

「朝日新聞が大震災から1年で実施した世論調査は、原発への厳しい世論を映し出した。定期検査で止まっている原発の運転再開には、57%が反対した。とくに女性は賛成15%に対し、反対が67%にのぼる。原発を段階的に減らし、将来はやめることにも、全体の70%が賛成している。」

原発の運転再開の57%が反対したことが「厳しい世論」なのであろうか。57%が反対というのは43%が賛成(もしくは無回答)ということになるのだろうが、私はこの数字の高さにむしろ驚く。福島の原発事故の前ならともかく、これだけ酷い被害が現在進行形で起きている中で、57%しか反対していないというのは「厳しい世論」どころか、何て無責任なのであろうと思う。そして、この反対の数字の低さは、原発の怖さ、危険、そして何より、それを運営する電力会社、政府がいかに信用できるものではないかを、この期に及んで、まだしっかりと世間が理解していない、もしくは理解しようとしていないことを表していると思う。いやあ、本当にお気楽な国民である。こういう国民であるから、第二次世界大戦に突入させるような破廉恥で理知的ではない政府に、いいようにやられてしまったのだなと改めて思う。そして、その失敗から学んでいない。お気楽である。

私はこの事故後、原発は、カンフル剤を打つようなその場しのぎ的な経済活性化のため、そしていざとなったら原爆をつくることができる国防的理由のため以外には、それを稼働させるいかなる意味をも見出せないことがより確信として理解できるようになっている。原発というエネルギー源は短期的には安く見えるかもしれないが、長期的には極めて高い。というか、短期的にもコストを正確に計算すれば原発は恐ろしく割高になる。東京電力という日本で最も大きな電力会社が潰れるくらいの割りの悪いエネルギー源である。そして、電力が不足していると我々は日々、脅かされているが、生きていくうえで必要な電力は余裕で足りる。ただ、無駄な浪費を生み出して、無駄に経済を膨張させるために、もっとエネルギーを使わせるための電力はちょっと不足するぐらいのことだ。今でも、東京の夜は、マンハッタンの夜より遙かに明るい。というか、日本の都市ほど夜が明るい都市は、私は寡聞にして知らない。夜景が美しく演出されないほど、東京や大阪は明るすぎる。今でも、不必要な無駄をさせたいほど、エネルギーは余っているのである。ただし、短期的な経済活性化のため、すなわち必要のない需要を無理矢理生み出すための原発というのは経済的に求められているであろう。それは、しかし極めて歪んだ市場経済であり、これによって、今後、世界中で再生可能エネルギーという市場が拡大していく中、ひとり日本だけが競争力を有さないような状況に陥るかもしれない。現に、つい最近まで太陽光といえばシャープであったのに、今ではドイツはもちろん、中国のメーカーの後塵をも拝しているような状況だ。

私は、ドイツに住んでいたり、今でもドイツのエネルギー事情などをチェックしていたりするので、確信しているのだが、原発は過去のものとなりつつある。これを加速化させたのは福島の原発事故であるが、日本も、これを契機に大きく産業構造、エネルギー構造の転換を図るべきなのである。あと、ひとつ付け加えたいのは、日本は原発事故を起こした国として、世界に対して相当の責任を有している。そして、相当、世界中から非難されていることを知った方がいい。私も海外に行くと、その点ではずばり言われたこともあるし(まあ、私が言われても何もできないですし)、相当、信用を失っていることを知った方がいいと思う。その信用を取り返すためにも脱原発を図ることが必要であると考える。それなのに、原発反対が57%しかいない、というのはとても残念であるし、脱力する。

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