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スウェーデン・パラドックス [書評]

スウェーデンという国は、複数回訪れたことがあるが、よく分からない。しかし、日本人はモデル国として随分と模範としているところがあるようだ。何冊かのスウェーデン本を読んだりしたが、「スウェーデンは偉くて、日本は駄目」という主張が強すぎて、かえってスウェーデンの真の姿が見えなくなるような印象を受けるものが多かった。

そういう中で、本書は民間のベテラン・エコノミストとスウェーデンの大学で学び、またスウェーデンでの生活も長い若手研究者との共著、ということで、二人の著者がお互いの短所を補いながらスウェーデンの実態に迫っている。二人の短所をお互い補うというのは、ベテラン・エコノミストに欠けているスウェーデンでの生活者の視点を若手が補い、逆に若手ではなかなか見過ごし勝ちなマクロ、グローバルな経済動向をベテランが補うということである。この二人の著者のコンビネーションがいい。その結果、本書は他のスウェーデン本に比べると、はるかに読み応えがある良書となっており、スウェーデンの秘密を探るうえで、多くの貴重な知見を与えてくれる。私がスウェーデンのことをあまり知らないからかもしれないが、これまでスウェーデンを訪れ、取材をしても見えてこなかった社会背景などが本書によって随分と見えてきた。スウェーデンの実像を把握したい読者は、まず最初に手に取るとよいと思える良書である。


スウェーデン・パラドックス

スウェーデン・パラドックス

  • 作者: 湯元 健治
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2010/11/19
  • メディア: 単行本



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