SSブログ

ドイツの再生可能エネルギー供給会社は、フクシマ原発事故以降、顧客が倍増した [サステイナブルな問題]

ドイツの再生可能エネルギー供給会社Naturstromの話を聞く。Naturstromは、昨年、ドイツ政府が脱原発を止めて原発の運転期間を延長すると発表して以来、電話が鳴りっぱなしの状態になった。自分の家だけでも原発ではない電力を使いたいと思う人が増えたからだ。さらにフクシマ原発の事故以降、急激に顧客が増えた。これまで10万人の顧客がいたのだが、フクシマ原発の事故から半年で10万人ほど顧客が増えた。フクシマ原発の事故で、それ以前から既に増えた顧客がさらに倍増したのである。

私もドイツに住んでいたら、絶対Naturstromと契約していると思う。そう思っている人は私だけではない筈だ。ということで、日本には需要はあるのだが供給はされない。どうして、こうなるのか。

それは、ドイツでは法律でいろいろと再生可能エネルギーを普及するための支援をしているからであろう。発送電分離は当然であるが、さらに送電を管理している会社は、再生可能エネルギーによって生じる電気を優先的に購入しなくてはならない。

再生可能エネルギーを普及させるうえで問題となっていたのは、4つの大電力会社は大きなシステムで発電していて、規模の経済を発現させ安い電力を提供することができるため、そもそも普通の状況では、価格的には再生可能エネルギーでは市場競争すらできなかったことである。さらには、ドイツ国内の場合、引っ越してくると、その市に属している供給会社に自動的に登録される。そういう市は4つの電力会社の子会社である。生産コストが安いが、独占されているので、あまり電力価格は安くない。しかし、ちょっと電力会社を変更する手続きは面倒臭いので、変えない人が多かったことである。

そのような状況は最近では随分と改善しつつあり、再生可能エネルギーも、現在では規模の経済も発現しつつあり、技術開発も進んだこともあり、価格的にはほぼ大手電力会社のそれとほぼ同じとなっている。Naturstromのポリシーは国策を待たないことである。顧客は、一ワット当たり23セントくらい支払うが、そのうち2セントが将来投資。これは新たな設備への将来投資に振り分けられる。2セントは年間にすると数億円。それで将来設備をどんどん増やしたり、革新的な技術開発にも投資したりするようにしている。現在、再生可能エネルギーはドイツでは20%にまで及ぶようになっている。

ドイツでも再生可能エネルギー導入のうえで大きな障壁となるのは4つの電力会社である。再生可能エネルギーが増えるということは、これらの電力会社が損益を減らすことに繋がるので、再生可能エネルギーは今ひとつである、との評判を流したりする。

しかし、ドイツにおいては国民が脱原発を訴える政治家を支持することで、政策を変え、そして、消費者として再生可能エネルギーを積極的に購入、支持し、さらには将来への投資を通じて、脱原発を現実的なものへとさせていった。この話を聞いて、私はドイツにできて日本にできない訳がないと確信した。とはいえ、障壁は多く立ち塞がっているだろう。一つ一つ、壊していくしかない。

nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1