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カール・マルクス・シュトラーセの商店街マネジメント [都市デザイン]

ベルリンの南部におけるノイケルンにあるカール・マルクス・シュトラーセの商店街マネジメントに関して話を聞きに行く。ドイツにおいて商店街におけるマネジメントが開始されたのは、ノルトライン・ヴェストファーレン州であったが、それがのちに連邦政府のプログラムとなり、カール・マルクス・シュトラーセの商店街がその連邦政府のプログラムに適用されたのは2008年からである。

もう一方で、同シュトラーセはザニールングゲビートのプログラムにも指定される。同プログラムが開始されたのは1970年代からあるが、再開発地区としてカール・マルクス・シュトラーセが指定されたのは2011年である。

日本と同じようにドイツの商店街でも多くのステーキホルダーがいるので、その調整は難しいのだが、それを束ねようとしているのが「アクション・カール・マルクス・シュトラーセ」である。この組織は、どうやって、この商店街の将来構想を策定するのか、などの検討作業をコーディネイトしている。

一方、多くのステーキホルダーがいることは、イベントの開催を可能とする。これまでファッション・ショーのようなイベント、ファッション・ウィークエンドなどを開催したりしている。また、ラマダンフェストも行っている。これは、トルコ系のレストランなどにとっては、宣伝の機会ともなっている。さらには、真夜中でのショッピングと称して、真夜中でショッピングをする機会も提供したりしている。商店が法律で8時には閉められてしまうドイツならではのイベントであるが、ここではアート系の展示なども行っている。このような夜8時から延長した開業は、年に2回か3回くらいは許可されているそうだ。

カール・マルクス・シュトラーセの大きな問題は空き店舗が多いことである。ファッション・ウィークエンドでは、これらの空き店舗を利用して、その空き店舗の内部がどのような状況であるかを周知させるような工夫をしたりしている。空き店舗のテナント探し対策だ。

「アクション・カール・マルクス・シュトラーセ」のその他の活動としては月に一回、会議を開催したり、ニュースレターの出版、顧客調査、商店街再生の基金をつくろうとしたりしている。

個人的に感銘を受けたのは、デパート跡地の再開発で行われた工夫である。そこでは、商店街の路上での賑わいを確保するために、デパート跡地に入ったテナントはそれぞれが商店街の街路に入り口を設けていたことである。通常のショッピング・センターなどは街路に設ける入り口は一つ。そして、街路と分断した買い物空間に人を入れた後に、人々が目的とする店舗へと誘導させる動線で移動させる。しかし、このようなショッピング・センターは街路から人を追い出し、街路を閑散とさせてしまう。そのようなことがないように、新しいデパート跡地の再開発では、テナントごとに入り口が設けられているため、他のテナントに移るとき、いちいち商店街に出なくてはならない。その結果、街路には人が多く溢れ、賑わいが創出される。もちろん、この問題点は、雨や雪の日には傘を差したりしなければならず、不便ではある。そのような不便さを顧客に強いてでも、街路の賑わいは重要であるとの考えが、この商店街ではあるようだ。もちろん、その問題を解消しようとすれば、ちょっとした庇を設けたり、日本の商店街のようなアーケードを設けたりすればいいだけのことではあると思う。

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(各店舗の入り口が道路に面しており、他の店へ移動するためには、一度、道路に出なくてはならない。これがドイツの商店街活性化の一つの対応策だそうだ)

このような試みが初めて為されたのは、このカール・マルクス・シュトラーセであったが、現在ではミュンスターやベルリンの北部の商店街などでも類似の試みがみられるようである。ドイツにおいて、商店街の賑わいの演出、多くの人手を確保することを優先したまちづくりが試みられていることが理解できた。都市の商業空間の魅力を創出するために、ドイツというか、少なくともここベルリンでは随分と知恵を絞っていることを知る。
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