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エッセン市のプロモーションビデオにはサッカーの画像が一切ない [地域興し]

ルール地方の雄であり、昨年、欧州文化首都に指定されたルール地方の拠点であるエッセン市を訪れる。そこで、エッセン市のプロモーションビデオを見る。

エッセンは人口こそはドルトムントよりは少ないが、地理的にも政治的にも経済的にもルール地方の中心である。数多くあるルール地方の産業遺産で唯一、世界遺産に指定されたツォルフェラインもエッセン市にある。負けているのはサッカーぐらいといってもいいかもしれない。

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(エッセンの世界遺産ツォルフェライン)

さて、そのエッセンのプロモーションビデオであるが、脱工業ということを強く意識していることが分かる。ルール地方の工業都市として、クルップの拠点であり、ドイツ経済を牽引した過去の栄光を捨て、新たなる都市イメージを形成しようと努力していることがうかがえる。

そして、そのキーワードとなるのが文化のようだ。同市にはアルバー・アアルトが設計したオペラハウスを始め、ルール地方最大のコンサート・ホール、1200人が収容できるドイツ最大の映画館や劇場などが多く建てられている。さらには、IBAエムシャーパークが成功したことが大きいのであろうが、2010年にはエッセンを中心としてルール地方が欧州文化首都として指名された。一昔前であれば、ルール地方が欧州文化首都に指名されることなど想像することも難しかったので、工業都市から文化都市への脱皮というのは、ある程度の成果が得られたのではないかとも思われる。ビルバオやマンチェスターとかの動きと同様だ。

さて、一方でサッカーの映像がまったくなかったことは大変興味深かった。スポーツ関連の映像は、ヨットぐらいであった。これがドルトムントのプロモーションビデオであれば3分の1はサッカーの映像となったであろう。サッカー博物館の誘致に成功するほどのサッカー都市である。都市のアイデンティティとしてサッカーを使うのはごく自然であると思われるのだ。

とはいえ、エッセンもサッカー大好きなドイツの都市である。市の職員にどうして、サッカーの映像がないのですか、と聞くと、同じルール地方にはブンデスリーガの1部にドルトムント、ゲルゼンキルヘンのチームがある。2部には昨期まで1部にいたボーフム、デュースブルクなどのチームがいる。それに比して、エッセンはついこのあいだまでは5部で、ようやく最近4部になったという恥ずかしい状況である。1950年代にはブンデスリーガの1部で優勝もしたこともあるのだが、サッカーのイメージは他のルール地方に比べて遙かに弱いのだ。と回答してもらった。

サッカーというスポーツも都市イメージの形成に重要な影響を及ぼすのであるな、ということを改めて感じた。また、エッセンのチームが強くなれないのは、スポンサーがドルトムントやゲルゼンキルヘン(シャルケ)などについてしまうためだそうだ。ということで、強くなるためには長い道のりのようである。

タグ:エッセン
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