SSブログ

パースのそばにある港湾都市であるフリーマントルを訪れる [都市デザイン]

パースから鉄道で30分ほどの距離にある港、フリーマントルを訪れる。20年前も訪れたことがあるところだ。当時は、すごいぼろい列車で行ったことを覚えている。20年後には恐ろしくスマートな電車に変わっていた。自動改札に、低床、そして走行も快適だ。夕日に間に合うようにパース駅を4時頃に出る。

フリーマントルはパース都市圏の港としての役割を担うが、港としてではなく、歴史的建造物が多くあることで知られ、観光スポットになっている。パースは大した観光資源がないので、フリーマントルも観光スポットになっているという意地悪な見方もできるかもしれない。

さて、フリーマントルに多くの歴史建造物が残ったのは、19世紀頃から港町として栄えたことに加え、1970年頃まで忘れ去られた地域となったことが大きいらしい。港町なのに忘れ去られた、というのはちょっとよく分からないのだが、パース自体も1970年までは人口が70万人ぐらいだったので、それほど港の重要性も高くなかったのかもしれない。とにかく、1970年代までは大きな開発から取り残されていた。しかし、1970年にフリーマントルの歴史建造物がある地区に高速道路をつくる計画が策定された。1970年頃になると、歴史建造物を保全しようという意識も強くなってきたため、この道路計画に対して反対運動が盛り上がり、結局、州政府はこれを中止させる(とはいえ、そもそも道路計画も州政府が策定したと思われるので、そこらへんの整合性はどう取られたのかは不明)。その結果、高速道路自体も整備されず、フリーマントルには多くの歴史建造物が保全され、そして観光スポットへと変容したそうだ。

IMG_9272.jpg
(フリーマントルの歴史的建造物)

IMG_9292.jpg
(フリーマントルの中心市街地の街並み)

20年前訪れた時は、なんか寂しいところだな、との印象を受けたが、今回もその印象はあまり変わらない。ただし、当時に比べると、歴史建造物がより立派になったような印象を受ける。おそらく、ファサードなどに手が入れられたのではないだろうか。ウォーターフロントにはちょっとしたレストラン街のようなものも整備されていた。ただし、ここもパースと同じように色彩が面白くない。イギリス的というか、どうも地味であるのに加え、北欧のような洗練さもない感じなのだ。まあ、それでも日本の港湾都市のようなアルミと錆びた鉄と、アスファルトといったサティアンを彷彿させるような非人間的な空間よりはましなのだが。

20年前にここを訪れた時、二度とここには来ないだろうなあ、と思ったにも関わらずまた来てしまった。そのような経験は、イギリスのレスターでもある。どちらも、それほど印象深くなく、敢えて来なくてもいいなと思わせた都市である。まあ、このような憎まれ口を叩きつつ、インド洋の夕日はちょっと日本人には惹かれるものがある。しかし、このような憎まれ口を叩いているせいか、夕日はちょうど日が沈む時になって雲に隠れた。ということで、夕日もあまり印象的なものではなかった。1時間30分ほどの滞在であった。

IMG_9314.jpg
(インド洋に沈む太陽)

nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0