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ベルリッツの噴飯ものの広告 [英語関連]

先日、電車に乗っていて、ベルリッツの車内広告を観た。綺麗なOLの顔写真と一緒に、「部長の山本はまもなく戻りますので、そこに座ってろ」という大文字のコピー。その後、「あなたの英語は、こんなふうに場違いに聞こえているかもしれません」と広告は続く。

ふぜけてんじゃあないよ。なんだ、この酷い広告は。英語には日本語のように洗練された複雑な敬語システムはない。ドイツ語にはDuとIhrのような敬語ではないが、親近さを区別する表現はあるが英語にはない。すなわち、「そこに座ってろ」というような表現を唐突にすることはない。例を挙げる。たとえばGo Aheadは、「早く行け」とも捉えられるし、「どうぞ、お先に」とも捉えられる。その違いはイントネーションで決まる。日本語もイントネーションだが、日本語の場合は使用する言葉で、皮肉のような言い方もできるが、英語では難しい。Pleaseがまさにそうだ。日本語では、「どうぞ」とか「お願いですから」とか、「いいですよ」とか「いい加減にしろ」とかいろいろな言葉が対応するが、英語ではそういう多彩な表現はできないとは言わないが、日本語に比べると不器用である。

つまり、この広告のようなコピーを英語でいうことは難しいのである。「まもなく戻りますので」と言っているので、イントネーション的には丁寧である。したがって、その後、たとえばPlease Sit Downではなく、Sit Down Thereとストレートな命令型で言ったとしても、ニュアンス的には「そこに座っていて下さいな」とくだけてはいるが、決して「そこに座ってろ」というほどの失礼な言い方になることはない。そもそも、教授でも基本的にファースト・ネームで呼ぶのがアメリカ流である。これは大学院時代、イギリス人の留学生でも抵抗があったようなので、基本的にはアメリカ、特に西海岸のカルチャーかもしれないが、日本語のように文章で、失礼なニュアンスを表現するのは英語では不可能に近い。したがって、ベルリッツの広告のような事態はあり得ず、単に日本人の英語コンプレックスを突っつくことだけを意識したような卑劣なコピーである。もし、そうでなければベルリッツは英語を教えているが、英語と日本語の違いも分からないということだろう。どちらにしても、このようなコピーをどうどうと広告にする学校に行って、英語ができるようになることはないであろう。

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