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ガソリンスタンド過疎化が進む地方に、なぜ道路が整備され続けるのか。 [道路整備事業の大罪]

ガソリンスタンドが減り続けている。12月1日づけの朝日新聞の記事によると、ピークであった1994年の60421店から2009年には40357店まで減ったそうである。ガソリンスタンドの6割は赤字経営で、経営者全体の2割が廃業を考えているようだ。そして、どこで減っているかというと都市部よりも山間部である。

山間部の住民にとって生活の足は自動車だけという状況になって久しい。モータリゼーションが普及する前は、自動車なしで生活を営めるような食料、雑貨販売、郵便局などの生活機能がとりあえず周辺にあった。自動車がなくていろいろと不便であったかもしれないが、それでも生活を維持することはできた。しかし、モータリゼーションが進むことで、それら生活機能が淘汰され、もはや自動車がないと生活できないような状況に追い込まれる。そのように山間部の人々を追い込んだのは、モータリゼーションを促進させた道路整備である。道路ができて、山間部に人が住むようになるという展望はまったくの妄想であった。実態は、道路ができると、山間部の生活機能が淘汰され、生活が自動車なしではできなくなり、高齢化が進み、自動車が運転できない人達にとってはすごく不便な場所になってしまったということである。そして、山間部の過疎化がさらに進むという事態を招いた。そのような実態は拙著『道路整備事業の大罪』で簡単にまとめた。

しかし、事態はさらに深刻というか笑えない冗談のようなレベルにまで進んでいたのである。というのは、生活機能であるガソリンスタンドまでもが減少してしまい、場合によっては数十キロも運転しなくてはガソリンスタンドにたどりつけない山間地も少なくないそうである。これって、ガソリンスタンドに行って戻ったらガソリンがなくなってしまうというブラック・ジョークのような事態も起こりえているかもしれない。とにかく、道路を一生懸命整備しても、ガソリンスタンドがなくなったら自動車が走らせられないから元も子もない。本当に、このバカみたいに道路を整備することはいい加減にやめてもらいたいものだ。なんで子孫から金を借りてまで、道路整備をしたがるのであろうか。はっきりいって、こんなガソリンスタンドがなくて自動車も走れないような山間部に道路を整備する愚は即刻やめるべきであろう。そして、道路を整備することでガソリンスタンドが減るという、この若干、理解することが難しいと思われる因果関係をしっかりと理解することが、地方の再生には必要なのである。というわけで、このブログの内容がよく分かりにくいなあと思った方は拙著『道路整備事業の大罪』を読んでみて下さい。


道路整備事業の大罪 ~道路は地方を救えない (新書y)

道路整備事業の大罪 ~道路は地方を救えない (新書y)

  • 作者: 服部 圭郎
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2009/08/06
  • メディア: 新書



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