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『静寂の嵐』はトニー・バンクスの凄みが存分に発揮された傑作 [ロック音楽]

ジェネシスというバンドは5人の極めて傑出したミュージシャンによって構成されており、まさに奇跡のオールスターによる化学反応によって素晴らしい音楽が紡ぎ出されているわけであるが、本作品はそのうちの1人であるピーター・ガブリエルが抜けた後につくられた2枚目のアルバムである。このアルバムは、残った4人のうち最も笑わないメンバーであるキーボードのトニー・バンクスの天才性が遺憾なく発揮されている傑作である。特に1曲目の重層的な音の積み重ね、コード展開など、もうトニー・バンクス以外の何者でもない独自の世界を創り出しており、そこに他のメンバーが音を絡ませ、フィル・コリンズのドライブ感溢れるドラムがリズムを刻み始めると、もう恍惚の音の万華鏡ワールドが展開する。ただし、トニー・バンクスが前面に出た分、ギタリストのスティーブ・ハケットはそれまでの作品に比べて随分と目立たなくなっている。このアルバムでの彼の曲の扱われ方に対する不満は彼の脱退の引き金となるわけだが、彼なしでのジェネシスはその後、違うバンドになってしまう。1曲目が何しろ素晴らしいが、それ以外ではアルバムを締める9曲目がジェネシス最高のラブソングとして最近(2008年)のライブでも演奏されていた。


静寂の嵐(紙ジャケット仕様)

静寂の嵐(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 1999/03/31
  • メディア: CD



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