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コンビニが立地できない十条商店街を訪れる [都市デザイン]

 十条の商店街をゼミで訪れる。十条駅周辺には高台に4つの商店街があり、そのうちの一つの十条銀座商店街を訪れたのである。荏原銀座、砂町銀座とともに東京三大銀座商店街と呼ばれているそうだ。とはいえ、十条銀座商店街と隣接する3つの商店街は連続しているし、さらに東十条商店街とも隣接しているので、そこらへんを知らずに訪れる人は、なんて巨大な商店街だと驚くことになる。3つの商店街とは、十条仲通り商店街、富士見銀座商店街、十条中央商店街である。これらを合わせると500ぐらいの店舗数になるそうだ。
 十条銀座商店街だけデータではあるが商店街振興組合の加盟店は180店舗。年間180店舗のうち10店舗ぐらいは入れ替わる。空き店舗は大体10店舗ぐらいで推移している。若い人達が起ち上げている店舗も最近、増えている。ここ2年間でそのような流れが顕著になってきている。

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(多くの人で賑わう十条銀座商店街)

 店舗構成の割合は物販店が61%、飲食店が18%、それ以外のサービスが20%。物販店のうち食品が35%、非食品が65%である。日用品が主体で買回品は少ない。昔は買回品が多かったが、随分と減ったそうだ。これは、ターミナル駅に移ったというよりかはユニクロなどの価格破壊が大きいためであると推察されている。チェーン店は30%ぐらいで随分と少ない。とはいえ、最近は駅前から浸食してきている。 

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(魚屋)

 十条銀座商店街のアーケードにはコンビニが一軒もない。駅前周辺に数軒あるだけである。これは、十条銀座商店街ではコンビニが競合に勝てないというリサーチ結果があったからだそうである。なぜ、コンビニが商店街に勝てないのか。これは、コンビニの利益源であるおにぎりなどの口を入れるものが、十条銀座商店街の商店が提供する商品には勝てなく、その結果、コンビニで利益を出すのは極めて困難だからだそうだ。面白い!すなわち、コンビニがないということは、それだけ優れた食べ物が得られるということだ。駅前は学生が通るから何とか対応できるそうだが、強い商店街はコンビニが入る隙を与えないということは新しい見識である。コンビニという小売り形態は必ずしも最強ではない、ということはコンビニに客を取られていると嘆いている他の商店街の人々は問題のフレームワークを捉え直すことが必要であるかもしれない。

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(おでんの種屋。確かにこんな店があってコンビニでおでんを買う人がいたら驚くよなあ)

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(このチキンカツの価格破壊度!)

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(行列が途絶えない鳥肉屋さん)

 なぜ、十条の商店街はうまくいっているのか。何もしなかったことがよかったのではないか、という意見をいただいたが、ここでも例のごとく都市計画道路補助83号線で道路整備をしようとしている。まさに道路整備による街破壊がここでも行政の無理解のもとに進められているのだ。まさに「下手な考え休むに似たり」、というか休んでいた方がずっといいのである。いい加減に気づかないと、本当に東京のよさが全滅してしまうとの危機感を覚えた。「拘りはあるが何もしない」。これこそが十条商店街の魅力の理由かもしれない。

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