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ニューヨークの素晴らしき公共空間ハイライン [都市デザイン]

今回、久しぶりにマンハッタンを訪れる機会を得た。3泊だけで、しかもほとんどワークショップで時間が取られている中、どうしてもチェックしておきたいところが二箇所あった。一つは、既にブログで記したブロードウェイであった。もう一つはチェルシーにつくられたハイラインである。

このハイラインはニューヨークのハドソン川沿いの高架鉄道が走っていたところの一部2.3キロメートルを、緑道というかプロムナード化したものである。現在は20ストリートから12ストリートまでの区間だけであるが、そのうちジャヴィッツ・コンベンション・センターまで延長される計画である。

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ハイラインは既に1960年頃から使われなくなり、その後、雑草が生い茂り、なかなかワイルドな自然があることで一部の住民に知られるところとなった。その後、1999年にフレンド・オブ・ハイラインというNPOが設立され、このハイラインを保全し、公共空間として活用するように積極的に運動した。市長がこれを支持したこともあり、その結果、2004年にはここを公共空間として整備するための予算(約50億円)が確保された。一般市民にハイラインが公開されたのは、2009年6月8日のことである。

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さて、ということでハイラインを訪れた。ハイラインはどこからでも上がれる訳ではないことを知る。チェルシー・マーケットと接続されていると思ったが、全然繋がっていなかった。ということで、ちょっと寄ってみるかという感じではなく、しっかりとした意思を持っていないと行けないところではないかと思う。観光客は要注意であろう。ハイラインでは、まず雑草によるランドスケーピングの美味さに唸らされた。なかなかである。そして、ハイラインからのニューヨークの高層ビルそしてハドソン川と対岸のニュージャージーの街の展望の素晴らしさに感心する。また、お洒落というか意匠に凝ったベンチが多く設置されており、豊かな人々の憩いの空間がニューヨークの西岸にまた増えたのはニューヨークの魅力をまた向上させたのではないかと思われる。このハイラインは最近、人気スポットと化したミート・パッキング地区を縦断する。相乗効果によって、この地域一帯の魅力がアップしている。ニューヨークの豊かさは公共空間に追うところが大きいという考えを持っている私としては、このちょっと風変わりでユニークな新しい公共空間は、またニューヨークの都市の格を向上させることに成功したのではないかと思う。

四年ぶりに訪れたニューヨークでは、このハイラインといい、ブロードウェイの歩行者専用道路化など、公共空間が大幅に向上され、かつ魅力溢れるものになっていることに感心した。一方で、道路の舗装状態などは非常に悪い。バリアフリーどころか、足元に気をつけていないのとでこぼこで足を捻ってしまいそうである。しかし、この道路の舗装とかにお金をかけないからこそ、ハイラインのような歩く人間のための優れた公共資源を産み出すことができるのだろうなとも思う。我が国も道路関連ばかり贅沢させないで、自動車に乗らない人のための空間を充実させるように取り組むべきではないだろうか、と四年ぶりのニューヨークで考えた次第である。

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