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ニューヨークの郊外にあるフラッシングはとてもアメリカとは思えない [グローバルな問題]

ニューヨークに来ている。商店街の研究のワークショップの参加者として招待されたからだ。さて、ワークショップは14日から16日なのに1泊早く来てしまった。ということで、この余計な1泊分は自分でホテルを押さえなくてはならない。ということで、マンハッタンのホテルを探してみたら、あまりにも値段が高い。平気で500ドルとかする。10年くらい前だったら100ドルで泊まれたマリオット・コートヤードとかが平気で500ドルくらいの値段に跳ね上がっている。これは、どうしょうもないということで、飛行場から近い郊外の宿を探す。以前から比較的好んでいたフラッシングのシェラトンは200ドル以上であった。これもちょっと前までは80ドルで泊まれていた宿だ。ということで、しょうがないのでランクを下げ、フラッシングのハワード・ジョンソンに泊まった。これでも150ドルだ。なんてこったい。

フラッシングのハワード・ジョンソンは予想していた通り、ぼろかったが、まあ最近はユースホステル暮らしをしていたので大丈夫である。フラッシングは6年前にも訪れたが、その時はもう中華街のようであった。しかし、それから6年後、フラッシングはもはやアメリカではなくなっていた。ここは中華街ではなくて、中国である。とういか、香港なみに中国であるといえば正解か。私が宿泊したハワード・ジョンソンも従業員は全員中国人のようであったし、ホテルにあったチラシ類、新聞も中国語であった。客も私を除くと、ほとんど中国人のようであった。フラッシングの外を出ても、店舗の多くは中国語の看板を掲げ、唯一、マクドナルドやバーガー・キングといったチェイン・ストアが、ここがアメリカであることを主張しているように見える。とはいえ、これらのグローバル・チェーンは当然、香港とかにもあるから、この光景からこのどこがアメリカなのかを判断することは難しいかもしれない。強いて言えば、アメ車が多いことくらいか。

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(フラッシングの地下鉄駅近く。これらの光景から、ここがアメリカであると判断するのは難しいと思われる。ある意味、観光化されていないので、アメリカの他の都市のチャイナタウンよりはるかにチャイナタウンの濃度が濃いと思われる)

それにしても6月にワシントンDCに来た時もそうであるが、アメリカの都市にいると、この国に将来があるとはとても思えない。何かが大きく崩壊しているような音が聞こえてくるような気がするのは、私の気のせいだろうか。フラッシングの街並みから、ここの国のどこに豊かさが見出せるか不明である。都市としての活力には溢れていて、そういうのは素晴らしいと思うのだが、それは東南アジアの都市などと同類のものである。というか、地下鉄7号線でジャクソン・ハイツからフラッシングまで車窓に展開する光景は、まさに発展途上国そのものだ。そもそも乗客に白人はほとんどいないし、いたとしてもヒスパニック系が東欧系である。英語を母国語とするアングロ・サクソンはメッツの試合かウィンブルドンの試合以外で、この地下鉄に乗ることはないのではないだろうか。途中、目にするシェア・スタジアムがちょっとアメリカっぽいが、この程度の施設は今では発展途上国でも目にすることはできる。

もちろん、フラッシングは移民達がつくりあげたアメリカのメイン・ストリームから外れたゲットーのようなところなのかもしれないが、アメリカという国の持つ豊かさに関しては、大いなる疑問をもたらす場所であることは確かである。皮肉なことに、フラッシングの飲食店はアメリカの平均よりも美味しい。これは、当然、中国や発展途上国のほとんどの国がアメリカより食事が美味しいから当たり前と言えば、当たり前すぎることであるが。アメリカにおける食事の不味さ、教育レベルの低さ(国別教育ランキングでは25位)、犯罪率の高さ、セーフティネットの欠落、エネルギー消費の異常な高さ、公共交通を始めとした公共サービスの劣悪さ、生産より消費を重視する価値観、勝てば官軍的な意識、自己中心的な考えに基づく家族の崩壊、建前ばかりでコーティングする偽善的なモラル。考えれば考えるほど、この国には将来はないと思えてしまう。ドイツもドイツ病で苦しんでいるし、ここは日本が頑張るべきなのだろうが、政治そして、その政治を支える国民がどうもしっかりしていない印象を受ける。とはいえ、アメリカの崩落への予感は、人類にとって21世紀というのは相当、試練の世紀になることを推察させる。この先進国にとっては縮小の時代、市場経済の問題が顕在化していく時代においては、何しろ必要となるのは教育であると思う。大学もそれに資することはできるが、大学だけでなく、幅広く、教育を強化することが、これからの日本にとっては極めて重要なことになると思われる。


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