SSブログ

ヘルシンキのユースホステルに宿泊したら若い日本人に呆れられる [地球探訪記]

ヘルシンキでの学会での滞在中、私はユースホステルに宿泊した。計6泊である。いろいろと問題があるが、まあ自炊もできるし、洗濯も勝手にしているし、快適とは言い難いがそれなりの生活はできている。もちろん、身体を壊したりしたらきついが、健康体であれば大丈夫だ。しかし、学会で知り合った30歳そこそこの日本人に、ユースホステルで滞在していることを言ったら仰け反られた。もう信じられないという感じの反応をされた。彼はスリースターより格下のホテルには泊まらないようで、私はもうあたかも人生の敗者というようなリアクションをされた。まあ、人生の敗者というのはそれほど当たらずとも遠からずという気もしないでもないが、私はこういうチープな生活ができる自分が結構、嫌いではないのである。恥じるどころかむしろ誇っているようなところもあるかとも思う。まあ、ゲテモノが喰えない人間に、俺は喰えるぜ、と心の底で自慢しているようなものに似ているかもしれない。少なくとも、ユースホステルのロビーにある小さなテレビでワールドカップの決勝戦を他のパッとしない客達と観ているのはそんなに悪いことではないと思う。

私も15年くらい前は、彼と似たような業種の会社に勤めていたので、ステータスを気にする気持ちは分からないでもない。というか、ビジネス・クラスに乗るのが当然で、エコノミーに乗るなどというのは全く持って論外だ、みたいな気持ちも持っていたと思う。そういう価値がある自分だからこそ、顧客もお金を支払うべきであるというプライドみたいなもので自分を保っていたところがあったと思う。今ではエコノミーどころか、日系の航空会社に乗れればラッキーみたいな気持ちもあるくらいだ。さて、それで自分が何を失ったかというとたいしたものはない。というか、犬も食わぬ虚栄心がなくなったのでむしろ快適である。この彼は、もしかしたら私と違ってコンサルタントとして大成するかもしれないが、その大成することに価値があることかどうかさえ私には不明である。彼は初対面の私に給料を尋ねるというような驚くべき無礼を働くぐらいだから金に執着があるのかもしれない。しかし、その割には、こんなチンケな学会に参加していて何がしたいか私には見えなかった。

さあ、どこでこのような価値観の分岐点が私にあったかと考えていると、クリチバの中村ひとしさんと知り合ったことと、学生達との付き合いの積み重ねであったと思う。私にもし人間的価値のようなものがあったとしたら、それはユースホステルに泊まることで失われるものではまったくない。まあ、ようやくそういうレベルにまで成長したということなのかもしれない。とはいえ、中村ひとしさんは絶対、こういうことをブログに書いたりしない。ちょっと成長しても、彼の足元にも到底及ばないということか。
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0