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ドイツの田園都市であるマルガレーテンヘーエを訪れる [都市デザイン]

ドイツには結構、たくさん田園都市がつくられている。ドレスデンのヘレラウ、コットブス周辺のマルガなどだが、ルール地方にも素晴らしい事例がある。ということで、エッセンにあるマルガレーテンヘーエを訪れる。これはルールの鉄鋼王であるクルップ家が社宅としてつくったもので、1906年に建設が始まった。面積は約50ヘクタールということで、ヴィレッジ・ホームズなどよりは大きい。

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(住宅地の正面に構えられたアーチの門のある建物)

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エッセンの中央駅は地下鉄という名の路面電車17号線に乗って5駅目のホーヘンヘーエで降りるといい。終点の駅名がマルガレーテンヘーエ駅なので、最後まで行きたい気持ちになるが、ホーヘンヘーエ駅こそがマルガレーテンヘーエのコミュニティの玄関口に当たる。玄関口には大きな門を持つ集合住宅がどんと構えている。この門をくぐり、緩やかな坂道を上っていく。道路幅は狭い。90年代にアメリカでニューアーバニズムという、自動車より人間に優しいような都市デザインが流行するが、そこの好事例であるケントランドやラグナウエストなどが試みたことが、ここドイツではとうの昔に実現されていることを知る。しかも人口密度は確実にこちらの方が高いと思われる。デザイン規制があるのかは不明だが、建設材料、色彩などが統一されている。この統一感は、画一さというか単調さというよりかは調和の美を強く表現できているなと感心する。ドイツは本当にこういう街づくりをさせると上手い。

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(街並み)

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(ロゴもドイツ風のものが使われている)

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(住民もそれぞれがお洒落な住宅地にするための工夫をしている)

しばらく歩くと広場に出る。50メートル×50メートルくらいの大きさか。今日は市場が立っていたようである。私は午後に訪れたので、もう大半が店じまいをしていた。この広場に面してホテルやスーパーマーケットが建っている。スーパーマーケットはドイツの大チェーンであるEDKAであった。しかし、EDKAの嫌らしい青色のロゴの色が、この建物に合わせて金色になっていた。こういう気配りが、この町の格を上げているのだろう。多くの家々は、花などで窓や門を綺麗に飾っていた。ここの住民がこの町に愛着を感じているのが分かる。デシャブ感を覚えたのでちょっと考えたら、アメリカのラドバーンであった。とはいえ、道路の幅、森林の中で生活しているような感じのラドバーンとここマルガレーテンヘーエは大きく異なる。あと広場の中心性がまったく異なる。マルガレーテンヘーエの隣は広大なる公園というか森があり、そういう点ではまさに田園都市ではあったが、レッチワースのような駅を中心とした地区における雇用の場のようなものは見当たらなかった。もちろん、レッチワースとここマルガレーテンヘーエでは規模が全然違うので、比較すること自体間違っているだろう。

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(EDKAのロゴの色が落ち着いたものに変えられている)

一点、気になったのは有色人種を一切、見かけなかったことである。圧倒的に白人のコミュニティであった。エッセンは結構、ドイツ人以外の人が多く住んでいる。おそらく、外国人の比率もドイツの平均より高い自治体であると思われる。しかし、ここマルガレーテンヘーエは完全な白人天国のような印象を受けた。多少、自分が場違いな気分にさせられた。旧東ドイツの村に行った時のような気分である。しかし、旧東ドイツの村だと観光客と思われて、そのように対応してもらえるが、ここはちょっと「よそ者」といった視線を向けられたような気がする。

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