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ザウアーラントの山地をローカル列車で行く [地球探訪記]

カッセルからデュッセルドルフへと列車で向かう。カッセル中央駅は驚いたことに新幹線どころか特急列車も一切、走っていない。すべて、新幹線用につくられた新駅に移ってしまったようである。仕方ないので急行列車でデュッセルドルフへ向かう。とりあえずカッセル発ハーゲン行きの列車に乗ってみる。これも、ちょっとワクワクする。カッセルからルール地方に向かうには、パーダーボーンやゾーストを抜ける道がメインである。しかし、私が乗った列車はその南にあるザウアー山地を通るからである。時間的には、ヴァーブルクでハム行きに乗り換えた方が早くデュッセルドルフに着くのだが、せっかくの機会であるので、この電化されていない路線を走る急行に乗り続けることにする。

さて、これが結構当たりであった。マールスベルクなどなかなか佇まいの美しい街並みやスレートで葺かれた屋根を持つ家々、木組みの家々、小山の上に立つお城などを眺めながら列車は走っていき徐々に山地へと入っていく。ドイツにはアルプス以外には大した山はないと言われるが、高さこそないが、斜面も結構急で、また一面雪で覆われていて、川を流れる水も速く、なかなか風情がある。日本人にも懐かしさを覚える光景だ。冬の石勝線を走っているような感じである。ドイツの田舎の街並みの美しさと自然の美しさが車窓から楽しめる。ドイツではあまりないトンネルも結構ある。個人的にはちょうど中間地点ぐらいに当たるオレスブルクという街並みがハイライトであった。オレスブルクはちょうど路線が街を迂回するように走るため、街の全容が眺望でき、背景にある山も美しく、なかなか感銘を受ける。その後、列車はルール川と思しき川と平行に走り、ハーゲンへと高度を下げていく。徐々に、ドルトムントやハーゲンの通勤圏であると思われる新しい住宅が見られ始め、田舎らしさが減っていく。山は丘陵のようになだらかになり、平地が広がっていく。

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(雪原が車窓に広がる)

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(平地ばかりみていると、丘陵地のような山並みでもなんかワクワクさせられる)

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(オスレブルクの街並み)

カッセルからハーゲンまで総じて3時間の旅であった。ローカル線らしさがムンムンとする路線で、私の通勤路線(デュッセルドルフーエッセンードルトムント)とはまったく違う風土を楽しむことができる。そんなにも距離は離れていないと思われるのだが、風土は大きく異なる。何しろ、景観がパンパンと変化するところが楽しい。ドルトムントからベルリンもしくはハノーファーへ向かう列車は3時間くらい同じ景色が続く。そういうのとは全然、違う列車の旅を経験することができる。

ドイツ鉄道には怒りしか覚えていないが、このようなローカル線が維持されているのは有り難い。恐ろしく赤字だと思われるが、この鉄道があるということは地域の人々が、その地域に対する帰属意識を高め、地域の空間イメージを形成させることに寄与し、また周辺の空間とのネットワーク化を意識の上で強化させることに貢献する。道路もそのような効果は多少あるが、この交通手段や交通施設(駅)、そして移動体験を共有することの効果は大きいと思われる。さらにドライブでは決して味わえない楽しみがある。それは、ドライブだと意識的にどこに行くかを判断する訳だが、鉄道は自分が知らないところに連れて行ってくれるところである。この知らないものに出会えるかもしれないということが何とも楽しい。

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