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デュッセルドルフの高級住宅地カイザースベルトに散歩に行く [ドイツ便り]

デュッセルドルフの高級住宅地であるカイザースベルトに散歩に行く。自宅から地下鉄という名の路面電車で、一本で行ける。カイザースベルトは、バルバロッサ皇帝が1135年に砦をここに設けるのだが、これはデュッセルドルフが村として認められる以前のことであった。ということで、デュッセルドルフの歴史はここカイザースベルトから始まるという非常にデュッセルドルフ的には由緒ある場所なのである。ということで、デュッセルドルフの観光資源としてもアルトシュタット、ケーニッヒ・アレー、メディエンハーフェンに次いで郊外にあるにも関わらずベンラス城と双璧をなす重要なスポットなのだ。とはいえ、日本人がわざわざ足を延ばすような観光地ではない。あくまでドイツ人向け、というか市内の小学生の遠足のための観光地である。

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さて、私が訪れたのは、この砦を見てみたいなというのもあったのだが、ドイツの高級住宅地はどのようなものか、というのを見たいというのもあった。実際訪れると、結構戸建て住宅はそれほどなく、テラスハウスのような集合住宅が多くあった。実際、家の中に入ると驚くのかもしれないが、外見的にはそれほど広大な住宅はあまり見られず、アメリカ人と違って、広さで贅沢を覚えるよりかは質で贅沢を楽しむ傾向があるのではと勝手に推察する。ただし街並みは落ち着いていていい。この公共性の豊かさみたいなものを追求する気持ちが結構ドイツでは強いのではないかと思う。もちろん、すべてのドイツ人がそういう志向ではないこともドイツ生活をしたことで理解しつつあるが、この公共性を豊かにしたいという人の割合が他の国に比して高いような気がする。そして、カイザースベルトの町としての公共性は豊かであるというのが歩いていると理解できる。落ち着いていて風情がある街並みである。

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(カイザースベルトの落ち着いた街並み)

さて、なかなかいいものを見たなとは思ったが、私は自分の住んでいるペンペルフォルトの方が住み心地はいいだろうと感じた。これは何も私がカイザースベルトに住む金がないので僻んでいる訳では決してなく、カイザースベルトのような村のような住宅地では、匿名性もなく、外国人である私にとっては住みにくいだろうなと思ったのと同時に、このペンペルフォルトの雑多性、猥雑性が私にとってはすこぶる快適であることを改めて感じたからである。実際、カイザースベルトのカフェで出されたケーキやコーヒーは、ペンペルフォルトのカフェのレベルには遠く及ばない。カイザースベルトにはミシュランに載るようなフレンチ・レストランがあるが、ペンペルフォルトにはリーズナブルなビアガーデンがいくつもあるし、トルコ料理からスペイン料理、イタリアンなど多彩な食事を楽しむことができる。何しろ肉屋が大袈裟でなく10軒くらい徒歩圏にあるのが個人的には嬉しい(日本ではベジタリアンであったものの発言とは思えない)。本屋もでかいのだけで二軒はあるし、文房具屋も複数ある。消費環境もそうだが、近隣の住民も全員ではないが、干渉はしないが、それほど疎遠ではなく緩やかに繋がるような関係性が維持できている(一人、おかしいのがいるが)。これはやはり都市で生活することで享受できるメリットかなと思う。私がドイツ人であれば、そのように思わないでカイザースベルトでの生活も楽しめるかなとも思うが、残念ながら日本人なので、この人口密度が1ヘクタール100人を越えるペンペルフォルトでの生活の方が自分には向いているかなとも思ったりもした。まあ、私は根っからの都市というかアーバニティ好きなので、そう思うだけのかもしれない。

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(私が愛するペンペルフォルトのノードストラッセの街並み)
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