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シュヴァルの理想宮を訪れ、その三流観光地風情に大いに落胆する。それに比べてボーヌ市のオスピスは素晴らしかった。  [都市デザイン]

私が結構好きな建築学会が編集した『空間演出』に紹介されていたので、リヨンからクルマを飛ばしてシュヴァルの理想宮を訪れた。1時間ちょっとかかった。シュヴァルの理想宮は、パラノイア患者による建築物である。1879年からつくり始められ、完成したのは1912年。現在はフランス政府により国の重要建造物に指定されている。『空間演出』での写真は美しく、あたかもジャワ島の世界遺産プランバナンのようであったので、わざわざ訪れたのだが、結論からいうとシュヴァルの理想宮は三流観光地のようなもので大いに落胆させられた。落胆というか脱力か。わざわざ外国人が訪れるような観光地ではなく、なぜ『空間演出』にて紹介されていたのかは全く不明だ。これに紹介されていなかったら、まず訪れなかったであろうと考えられるので、編集者には責任を取ってもらいたいくらいである。ちなみに、これは『地球の歩き方フランス版』にても紹介されている。リヨンかマルセイユに住んでいるのであればまだしも、ドイツに住んでいてもフランスに行くのが10回未満であれば訪れることを考慮しなくてもいいような観光地であったと思われる。確かに、一人の建築的な知識が皆無に近かった個人がつくりあげた作品であることを考えると感心しない訳ではないが、わざわざ見に来るほどのものではない。『空間演出』という点では、多少興味深いが、もっと素晴らしいものはフランスにだってたくさんある。例えば、ここを訪れた午後に訪問したボーヌ市のオスピスなどの方が遙かに行く価値があると思われる。

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(スケールは決して大きくない。素人の個人がつくったという観点からは凄いが、しかし、建築としては感心することはできない)

さて、そのボーヌ市であるがディジョンの南に位置している。ボーヌ市のオスピスは1443年に創設されたもので、当時は貧しい人たちに医療サービスを無料で提供していたものである。そして、その費用はオスピスが所有する葡萄園でつくられるワインを充てていたらしい。いい話である。このオスピスの建物が何しろ美しい。屋根瓦が七宝焼で、黄色、赤、茶色、緑、黒と美しく多彩な色を用いて、文様を描いている。コルマールでも見られたが、より美しい。ただし、この美しい屋根瓦は外からはちょこっとだけしか見えず、このオスピス内に入らないといけない。オスピス内は現在は博物館になっており、当時のオスピスの状況等が忍ばれる。博物館にはロヒール・ファン・デル・ウェイデンの代表作である『最後の審判の祭壇画』が展示されている。このオスピスは歴史を感じさせると同時に、その空間も素晴らしく、将来的には世界遺産に指定されてもおかしくないだけの条件を有しているのではないかと個人的には勝手に推察した次第である。

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空間演出―世界の建築・都市デザイン

空間演出―世界の建築・都市デザイン

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  • 出版社/メーカー: 井上書院
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  • メディア: 単行本



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