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美食の都リヨンにて、二流グルメ的な考察をする [B級グルメ雑感]

リヨンは美食の都らしい。ということで、リヨンの定食屋(ブーション)で三日間、コース料理を食す。初日はベルクール広場のそばにあるレストラン街の一軒に入る。注文したものと違ったものが店側の手違いできた。スターターこそ、注文通りに鶏レバーのムースが出てきたが、メインはリヨン名物のクネルではなくフライドチキンのような手羽先の料理と牛肉のフィレが出てきた。お腹が空いていたのでそのまま食したが、これは取りあえずよく食べたことがある味付けであり、驚くように美味しいことはなかった。しかし、もちろんアメリカなんかでは食べられないレベルではあったが、そんなに感心するほどのものではなかった。

二日目は旧市街地のレストラン街の店に入る。旧市街地は大晦日ということもあり、どこもべらぼうに混んでいた。比較的人が入っているザンクト・パウルという店に入ろうとしたら、机が二つほど空いているのだが入れないと言われた。どちらも予約されているそうだ。ということで、バシリカ教会のそばにある店に入った。この店も満席であったのだが、15分ほど待てば入れると言われたのでここに決めたのである。この店はル・プティ・グロートンといい、店の前でクレープを屋台で売っているなど商売上手な店であるという印象を受けた。さて、注文したのはオニオン・スープとリヨン名物の牛の胃のトマトソース炒め。デザートがついて14ユーロ。値段の割には美味であるが、日本で食べるのとそれほど変わりはない。ただし、値段を考えると美味しいか。牛の胃は、ホルモン焼きを食べている日本人には別に目新しくもないが、一般的なヨーロッパ人には斬新なのかもしれない。あと、サービスはなかなかよかったが、厨房が席から見えて、電子レンジを用いてポテト・グラタンなどを温めていた。これは興ざめであった。

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(リヨン風サラダ。ポーチド・ポテトとベーコンがつく)

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(胃袋のトマトソース炒め?)

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(リヨン名物の白チーズ)

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(これが2日目に訪れたル・プティ・グロートンの店構え)

三日目も旧市街地のレストラン街の店に入る。正月であり、大晦日ほどではないが結構、混んでいた。昨日と同じレストランに入るのは癪なので、昨日断られたザンクト・パウルに再びチャレンジする。今日も机は空いているのだが、昨日と同じ若いウェイターがだめだめと言ってきた。あたかも来訪した私を非難するような顔で追い返される。なんで、机が空いているのに入れないのか不思議ではあったが、その横柄な態度にこちらも不機嫌になったのでそのまま出た。そして真向かいの店に入る。こちらは満席であり、これは駄目だなと思って出ようとしたら、ウェイターがやってきて40分くらいなら席が空くがどうする、と聞いてきた。それぐらいなら待てる、ということでここアンフィトリョンという店で食べることとする。しかし、なぜザンクト・パウルのレストランは予約の意向も聞いてこないのか。もしかして人種差別?といった被害意識さえ覚えてしまう。さて、アンフィトリョンは店が小さいこともあり、身動きもままならない状態で食べることとなった。ここでのメインはアンドゥイエットとクネルを食べた。アンドゥイエットは、ゆでた腸間膜を細長いひも状に切り、白ワイン、マスタード、玉葱、香辛料でマリネしてから腸に詰めたもので、マスタードが大いにかかった状態で出てきた。これはディジョンでも食べたが、なかなかイケル。クネルは魚のすり身でつくるはんぺんのようなものである。とはいえ、はんぺんより味は複雑。豚足とハムのマスタードソース和えサラダは、ちょっと酸味がきつかったが、まあそこそこ美味しかった。ドーフィーネ風ジャガイモのグラタンも注文した。ここはセットで18ユーロでこれまでの店に比べて高いだけあって味も一番よかった。待った甲斐があったというものだ。

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(アンフィトリョン(おそらくこう発音するのでは?あまり自信なし)の店内)

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(鶏レバーのムース)

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(クネル)

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(アンドゥイエット)

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(ドーフィーネ風ジャガイモのグラタン)

さて、美食の都であるというだけあってなかなか充実した食事をすることができた。とはいえ、あまりにもヘビーなのでレストランに行くのは一日一回が限度か。豚足、牛の胃といったメニューから、もしかしたら中華料理の影響を強く受けているのかなとも思ったりもした。リヨンは絹の都である。はるばるシルク・ロード等を通って、絹とともに食文化もこの地にもたらされたのではないだろうか。その結果、パリなどに比べても遙かに充実した食文化をこの地で花開かせたのではないかと思うのである。今までのフランスでの食事経験が低レベルであったこともあり、今回のディジョン、リヨンでは低価格の定食屋で食べているにも関わらず、結構、よい経験をすることができている。私のフランスの食文化への評価は随分と改善された。しかし、それでも日本料理の方が断然、美味しいよなと思う私がいる。高校時代、本多勝一を愛読していた。ある取材で、まさに世界中を旅した本多勝一が、どこの料理が一番美味いかという質問に日本料理であると回答していた。高校時代の私は世界三大料理のフランス料理、中華料理、トルコ料理の方が日本料理より上だと勝手に思っていたので、この回答には驚いたのだが、40代半ばになって、私自身、40カ国以上の国を訪れて、いろいろと食事をした結果、日本料理が世界で一番美味いという結論に達している。酒は日本で飲むという条件下では、日本酒が一番美味しいと思う。フランス料理は興味深く、今回のリヨン旅行で随分とよいイメージを抱いたが、それでも日本料理には到底及ばないなという意見は変わらないでいる。そして、タイ料理や韓国料理にも及ばないという意見も変わらない。ただし、チーズとワインは格別に美味い。
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