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アメリカ人の多くはドイツから来ている!? [グローバルな問題]

先日ドイツの大学の同僚が「お前が喜ぶ地図があるぞ」、といって持ってきてくれたものがある。アメリカ人に「祖先はどこの国からきたか」と聞いた結果の最多数の回答を得られた国ごとに色分けした図である。出所は2000年の国勢調査である。州ごとと郡ごとに分かれており、郡ごとのが大変興味深いのだが、奇特なこのブログの読者はそんな細かいところなどはどうでもいいだろうから、州ごとの状況を簡単に報告させてもらう。

50州中23州、すなわち46%もの州民の最大多数が祖先は「ドイツ」から来ていると回答している。これは、結構、多くの人には意外な結果であろう。私はこのようなデータは人口ベースでは知っていたのでそれほどは驚かなかったが、それでも本当、アメリカはドイツだなと改めて思い知らされた次第である。そしてメキシコが4州。カリフォルニア、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスだ。ただ、郡別でみると北カリフォルニアはほとんどドイツである。他はフロリダ州(ドイツ)を除くルイジアナからメリーランド、デラウェアにかけては、国ではないがアフリカと回答している。そして、ユタ州、メイン州、ヴァーモント州と人口規模が小さい州が、宗主国であったイギリス。ニューハンプシャーがアイルランド。そして、ニューヨーク、コネチカット、ロードアイランド、ニュージャージーのニューヨーク周辺はイタリアとなっている。これらに分類されない州が5つほどある。この地図は色分けされているが、もうニューイングランドを除く北半分がほとんどドイツ色である。面白い。

ドイツ語は第二次世界大戦以前、アメリカ合衆国の公用語であった。しかし、ナチスが台頭し、ドイツ人を祖先に持つ人達はそのことを隠す。そして、名字も英語風のものに変えていく。ミュラーがミラーになるなどだ。そして、ドイツ色を徐々に消していくのであるが、それでもアメリカにはドイツ的なものがいくつか残っている。ハンバーグもそうだが、クリスマスツリーなどがまさにそうである。コーエン兄弟の映画『ファーゴ』でフランシス・マクドーマンド演じる女性署長マージ・ガンダーソンがドイツ語訛りの英語をしゃべり強烈な印象を与えるが、こういうことからもドイツ的なるもののアメリカ社会への根付きが読み取れる。ちなみに、米大リーグではドイツ系の偉大な選手が多い。ルー・ゲーリッグ、マイク・シュミットもそうだし、ジョージ・ブレットもそうだ。アメリカは英語が母国語であるが、イギリスと非常に近いと捉えるのは政治面では確かにそうかもしれないが文化面では必ずしもそうとはいえない。ドイツで生活しているからかもしれないが、アメリカは価値観などもドイツ的なものを感じる。アメリカを理解するうえでの一つの重要な切り口であると思われる。

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