SSブログ

クリスマスツリーのために樅の木を根本からぶった切るドイツ人のどこが森の民なのだろうか [ドイツ便り]

ドイツではクリスマスが近づくと、クリスマスツリーのための樅の木が売られ始められる。商店街の広場などに臨時の売り場が出現して、樅の木が並ぶ。多くの樅の木は根本でぶった切られ、まっすぐ立つこともできない。この樅の木の痛々しい姿をみると心が痛む。ドイツ人は森の民と言われるし、実際、森を大切にする人々であるとの印象を受けている。しかし、このまるで戦場で負傷兵が担架で並ばれているような傷つけられた樅の木の痛々しい姿には何も感じないのであろうか。

IMG_5730.jpg

などと書いている私も、クリスマスツリーを買ってしまった。さすがにぶった切られた樅の木は買えずに、ポットに入った根がついているものを買った。とはいえ、これも指定の日に捨てなくてはならないので、樅の木の辿る運命は同じなのだが。まあ、なんか後ろめたい気持ちを抱きつつ買った樅の木ではあるが、それが発する匂いによって、部屋の空気がピシッと引き締まる。人の心に働きかける力を持った木であるなと思う。買わないで批判をできればいいのだが、買ってしまったところが我ながら情けない。

知り合いのドイツ人の話では、正しいクリスマス・ツリーは本物の蝋燭で点灯するらしい。これは火事の原因となるのだが、それでも蝋燭に拘る人は未だに多いらしい。この知り合いは蝋燭ではなく、豆電球でツリーに光を灯している。これは妥協の産物であるそうだ。しかし、この彼にしても、アメリカや日本のような偽物のクリスマス・ツリーを置くことはあり得ないという。このクリスマス・ツリーは今ではドイツのビッグ・ビジネスになっており、多くの樅の木がある意味で無駄に消費されている。

まあ、しかし、近いうちに、このような使い捨てクリスマスツリーのような贅沢も出来なくなる日が来るであろう。束の間の伝統遊びであると思ったりする。
nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0