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ドイツの公共交通が利用される要因 [地域興し]

ドイツの公共交通はそのサービスの悪さの割によく利用される。その理由の一つとして一ヶ月券の存在が挙げられるのではないかと思う。というのは、日本のように乗る度に支払うのではなく、一ヶ月の格安のチケットを購入している人が多いため、乗らなくては損という動機づけが働くからである。これは、スキー場の一日券のようなものだ。一度買ってしまうと、ひたすら乗った方が得という、元を取ろうというインセンティブが働くために、まあ多少不便でも人々は公共交通を利用するのだ。

さて、それでは料金体系がどのようになっているのか。私が住んでいるデュッセルドルフのあるライン・ルールの地域では下記の表のようになっている。Aは1都市、Bは隣接する自治体まで、Cは2つの隣接する自治体までの範囲、Dはライン・ルール地域全域となる。

Ticket 1000:57.45(A1)、59.05(A2)、86.90(B)、112.8(C)、135.5(D)
Ticket 1000 9Uhr:41.85(A1)、43.10(A2)、63.25(B)、81.60(C)、9.05(D)

ここで上段のものはいつでも乗れて、下段は午前の9時以降であれば乗れるというものだ。スキーの半日券のようなものか。とはいえ、9時以降というのは相当、長い時間利用できるということだ。A2は大都市の市域全域を移動できるが、これが月8000円くらい。多少、高い気もするが東京だと1回乗って200円くらいだから、一日2トリップで400円。まあ、週日に2トリップ(往復)すれば購入した方が得だろう。どっかに寄れば3トリップ。また、東京などだと乗り換えると1トリップでも初乗り料金を取られて割高になるので、そのような移動をする場合はこの一月券は結構、得をする気がする。日本の回数券はたったの1割しか得をしない。スキー場で回数券を買う人がほとんどいないのと同様に、鉄道もこのドイツの1ヶ月券のようなものを積極的に販売するといいと思う。マイカー通勤が主流となり通勤定期利用者が少なくなっている、鉄道の利用率が低い地方都市などでは結構、利用活性化に効果があると思われる。これと自転車で乗れるように工夫をすることも、その利用向上には資するのではないだろうか。ドイツの鉄道は日本と比べても遙かに大赤字であるが、採算性で自動車と勝負をしたら負けるのは確実だ。なぜなら、自動車は道路の維持管理費をすずめの涙のような額を間接的に支払っているだけだからだ。そろそろ日本も公共交通が公共財であるという認識を持って、その運営を考えるべきなのではないか、と不便なドイツの鉄道を利用しつつ思う。不便ではあるが、走っていることで大きな社会的便益を人々に与えていると思われるからだ。

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