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ハレで素晴らしい都市の鍼治療を発見する [都市デザイン]

ザクセン・アンハルト州のハレを訪れる。ハイドンが生まれた都市であり、広場にはハイドンの銅像が立っている。さて、このハレは中央駅と広場の間を高幅員の道路が横断しているために、動線が大きく分断されていた。しかも、この道路は高架になっており、駅から広場に行く道は暗くなっていた。そうでなくても、寂れつつあった駅周辺がさらに人出が減るようになっていた。しかし、駅と広場とを結ぶ動線が強化できれば、駅の利用者も少しは増えるかもしれない。

そのために、動線を強化させるために高架道路の下を明るくすることにした。しかも、ただ明るくするのではなく、アメニティの高い空間へと変容する工夫をすることにしたのである。高架道路の下に円形の広場を設けて、高架道路の下には店舗を設けた。さらに、明るくするために看板を光源にした。その結果、それまで暗かった高架下が明るく、しかも看板であるためにメッセージ性も持っていてアート性のあるお洒落な空間へと変貌した。もちろん、歩道もしっかりと整備され、路面電車の線路も新たに敷設された。

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都市のマイナス面をプラス面に変えるのが、「都市の鍼治療」の妙であるとすれば、ハレがここで実践したことこそ、まさに都市の鍼治療の絶妙な事例であると思われる。ハレは旧東ドイツの都市の御多分に漏れず、主要産業の衰退、人口縮減、ネオナチの胎動など多くの課題を抱えているが、このような「都市の鍼治療」的な事業を実践できる知恵が存在しているのであれば、中長期的にはその将来をそれほど悲観しなくてもいいのでないかと思わされた。


都市の鍼治療―元クリチバ市長の都市再生術

都市の鍼治療―元クリチバ市長の都市再生術

  • 作者: ジャイメ レルネル
  • 出版社/メーカー: 丸善
  • 発売日: 2005/08
  • メディア: 単行本



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