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ルクセンブルクはまさにその名に恥じぬ城郭都市であった。 [地球探訪記]

ルクセンブルクに行く。ブルクとは城という意味で、これを名前につける都市はドイツ、フランス(フランス語だとブール)に多く存在する。フライブルク、ハンブルク、ウォルフスブルク、マールブルク、ヴュルツブルク、ストラスブールなどである。しかし、ハンブルクやウォルフスブルクは城郭都市という感じではない。ウォルフスブルクなどは、近くに城があったので勝手に名前を拝借しただけである。その点、このルクセンブルクはまさに城郭都市というか要塞都市という感じである。まさにブルク中のブルク、ブルク・コンテストがあれば優勝するであろう。モーゼル川の支流であるアルゼット川によってつくられた渓谷を天然の堀とし、その背景にある絶壁を城壁とする、まさに天然の要塞といった様相を呈するこの都市が難攻不落であったのは当然のことであったろう。そして、その特異なる地形は変化に富む景観を供する。絶壁から堀ならぬ谷を展望すると、その絶景に息を呑む。こんな美しい景観を擁する都市であるとは来るまで知らなかった。あまり期待をしないで訪れたので、大いに得をした気分である。

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ルクセンブルクの人口は10万人弱程度であるが、一国の首都であるため、都市機能を多く有しているために、印象としては30万人ぐらいの都市という感じだ。ドイツの都市よりはフランスの都市といった印象が強く、特に自動車の管理をしっかりとできていない点がフランスっぽい。ドイツの都市は人口10万人程度でも、旧市街地から自動車を追い出すことに成功して、ヒューマン・スケールの空間をつくりだすことに成功している。ルクセンブルクの隣にある同程度の人口のトリアー市は、都市のヒエラルキーとしてはルクセンブルクよりずっと下位のイメージがあるが、それでも中心市街地の賑わいの演出の仕方は遙かに優れていると思う。あらためて、この点においてドイツが優れていることを確認する。ちょっともったいないなと思う。

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(歩行者専用空間かと思ったら自動車が通り抜けていた)

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(なぜ、自動車を通すのかは不明)

しかし、フランスといい、イタリアといいラテン系は自動車に甘い。この理由の一つは、自動車を保有する富裕層が政策決定権を有しているからではないだろうか。インドネシアとかで公共交通が充実していない理由と似ているのではないかと思う。インドネシアの政策決定者は、自らが自動車で円滑に移動できる環境を欲しがり、自動車が保有できない人民が公共交通で円滑に移動できるようにする政策にあまり力を入れたがらないからね。それに比べると、ドイツは一般庶民の政策決定権が強いのではないかと思う。それと一般市民の公共性への理解がしっかりしていることである。まあ、ここらへんは大いなる邪推かもしれないが気になっている点である。

ルクセンブルクに話を戻すと、てっきりドイツ語圏だと思っていたので、フランス語圏であることを知り、がっかりした。いや、別にドイツ語なら話せるという訳ではないのだが、ちょっと残念だったのである。夕食をフレンチ・レストランという看板を掲げたレストランで食べた。とはいえ、前から思っていたことだが、フランス料理とドイツ料理ってほとんど変わらない。ジャガイモと豚と野菜である。敢えて違いがあるとしたらデザートで、デザートは全般的にフランス料理の方が洗練されていると思う。まあ、日本でいうところの宮廷料理としてのフランス料理はヨーロッパで食べたことはほとんどないから何ともいえないが、普通の街のレストランに入ると、まずいと言われているドイツ料理との差がほとんど分からない。住んでいるデュッセルドルフでは美味しいドイツ料理が食べられるので、むしろドイツ料理の方が美味しいと思ってしまうくらいである。こういうことを書くと、私の無知を晒しているようでまずいかなと思ったりもするが、この点に関しては今後も追求していきたいと思っていたりする。

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