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イタリアの山岳都市を訪れ、自動車に蹂躙されて魅力を徐々に失っていることに気づく [サステイナブルな問題]

 竹内祐二氏はその著書『イタリア中世の山岳都市』で「イタリアの山岳都市は、現代建築、都市計画に大きな示唆を与えている。人間が快適に生活をすることのできるスケール感は、どのようなものなのか、といったことを、実際に、その街並みで我々に語りかけている」と述べている。それは、まさにその通りだとは思う。
 しかし、これらの山岳都市の多くは廃墟化し、また自動車が入れるところは自動車の侵入を許してしまっている現状をみると、がっかりさせられることも確かである。造形として優れていることは紛れもない事実であるが、自動車に対しての都市政策が優れているとは決していえないだろう。とはいえ、フィレンツェではライトレールの工事がされていた。イタリアでも対応できるところでは、状況を打破しようとする動きはあるようだ。自動車に公共空間を譲った時、都市の公共性は多いに失われる。それは、例え、宝石のように美しいイタリアの山岳都市でさえも例外ではない。

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 ということをイタリアの幾つかの山岳都市をイタリア人の友人に連れられ、訪れたことで気づかされた。教会前の美しい広場は駐車場に化し、そして狭い中世からの道を自動車が走っていく。もちろん、山岳都市によってはその幅もなかったり坂が急で自動車が入れないところもあったりするが、そのようなところが現在でも山岳都市の美しさを維持できているのは示唆的である。公共交通が成立しない過疎地において自動車交通は極めて重要な役割を担う。しかし、それをうまくしっかりと管理しなければ、大きな価値を損なうことも認識しなくてはならない。ジャイメ・レルネル氏が言うとおり、「姑のように付き合う」ことが必要だ。関係を断つことはできないが、それに支配されてはならない。


イタリア中世の山岳都市―造形デザインの宝庫 (アーキテクチュア ドラマチック)

イタリア中世の山岳都市―造形デザインの宝庫 (アーキテクチュア ドラマチック)

  • 作者: 竹内 裕二
  • 出版社/メーカー: 彰国社
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 単行本



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