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麻生元首相が愛読していた「ローゼン・メイデン」のアニメを観る [グローバルな問題]

麻生元首相は秋葉系に人気があるということであった。なんでも彼らからはローゼン閣下と呼ばれていたそうだ。その由来は、「ローゼン・メイデン」という漫画を読んでいるからということだが、私はこの漫画を全く知らなかった。ということでググると、結構、有名な作品のようであった。アニメもあるということで、フランス版ユーチューブのWATで全編、観た。
 ローゼン・メイデンというタイトルがアイアン・メイデンというヘビメタ・バンドを連想させたのでそちら方面かと思ったら、なんと少女漫画のような画風のファンタジーであった。それなりに面白いとは思ったが、ストーリー性に汎文化的なものは感じられず、一国の首相が堂々とその読書であることを主張するような作品ではないと思われた。別に観ることはいいが、公にすることはない。というのは、日本ではともかく、他国ではその良さは一般的には理解されないと思われるからだ。他国と十把一絡げで指摘したが、フランスやスペインといった日本のオタク文化がある程度理解されている国であれば通用するかもしれない。とはいえ、オタク文化がある程度普及しているドイツでも、人形が主人公の少女漫画タッチの漫画を60歳過ぎた親爺が読んでいることは、変な人と思われるであろう。ましてや漫画を成年男子が読むことさえおかしいと断定する中国人やインドネシア人(私が知っている範囲)のエリートであれば尚更である。麻生さんは海外に留学していたりして、海外通をぶっていたりしたが、海外の人々がどの程度日本人の特異性を許容するかという点での理解は劣っていたのではないかと思われる。
 私は大学の教員なので、ある程度、変な趣味を有していても許されるというか「大学の先生だからしょうがないなあ」と諦められるポジションにあるとは思うが、それでも例えば「ローゼン・メイデン」が好きだと講義で言ったら、少なくとも9割の学生には拒否されるであろう。例え好きだとしても公言する価値もなく、公言するという自覚の無さがむしろ許されなくなると思われる。「エヴァンゲリオン」であれば4割くらい受け入れて貰えるかもしれない。このような他者にどの程度のことなら受け入れられるかということは、コミュニケーション力の重要な要素であると思われるのだが、まあ麻生さんは大いにその点で欠落していたのであろう。彼自身の支持率の低さは、まさにその点で彼が劣っていたことを裏付けていると思われる。いわゆる「空気の読めない」人であるということは、堂々とローゼン・メイデンを読んでいることを得意気に言うことなどからも察することができる。
 補足するとホリエモンもローゼン・メイデンを読んでいるのではという噂がたったりしたが、ホリエモンがローゼン・メイデンを読んでいたり、例え彼がそれを吹聴してもそれは問題がないと思う。それは、ホリエモンと麻生元首相の大きな差であり、やはり首相という一国の代表は、それなりの外向きの顔をしっかりと演出する必要があると思うのである。本音でやって、それで受け入れられると思ったとしたら、それはあまりのお坊ちゃん気質であり、他人に甘えていると思う。そういう人を選挙対策で総裁にしてしまった自民党が下野するのは当然といえば当然の結果であったろう。しかし、同様の思考回路で東国原知事を口説こうとした古賀誠が当選したというのは、自民党にとってはむしろ大きなダメージになったのではないだろうか。二大政党の一翼を担える政党として復活できるのか、古賀氏や森氏のような派閥が大好きで公共事業を持ってくることで票を集めている人達が当選している状況を考えると、個人的には疑問に思う。「ローゼン・メイデン」自体は立派な漫画であるが、それを首相が読んでいることを公言するということは、違和感を覚える。じゃあ、他にどんな漫画なら許されるかというと難しいところだ。やはり、首相が漫画を読むのはいいが、それを読むことを吹聴することはおかしい。中曽根が「麻生君は漫画を読んで馬鹿だね」と発言したことは良識であると思う。自民党はこういう良識で売っていたのに、麻生は良識を重視する保守層の自民党離れをもその浅薄さによって促したのかもしれない。

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